探偵物語 42

探偵日記 9月11日木曜日雨

昨日のゴルフコンペ、3組11人で争った。かって5組あったのが、会員が高齢の為徐々に減り、前回(年6回奇数月の第2水曜日に開催される)は5人しか集まらず成立しなかった。8時28分、うす曇りの中スタート。10番ホール、ドライバーがバンカーにつかまってダブルボギー。(今日もダメか)と思ったが、その後は我慢して、44でハーフを終えた。昼食の時ビールを飲んで、本コースの中で一番難しいハンデ1のスタートホールでパー。次も楽々2オンしてパーかと思ったらまさかの3パット。以後3ホール連続で3パットして自滅(泣)いずれも不用意なパッティングが災いした。トータル91(ハンデ5)言い訳になるが、後半の数ホールは何故かメチャクチャ疲れてしまった。太陽が出て少し暑くなったため軽い熱中症のような症状が出た。結局僕は3位。手術をして5ヶ月ぶりの人が4位。嫌になっちゃった。夜は阿佐ヶ谷のいちょう通りにある居酒屋「越川」で、2,3,4,7位で残念会。

今朝5時に目覚ましでおきたらタイちゃんはもういない。昨夜僕が余りにも疲れていたので気をきかせて散歩を代わってくれたみたいだ。昨夜寝る前に飲んだ誘眠剤が効いて、また8時までぐっすり。疲労も回復したようなので早々に支度をして10時事務所へ。

探偵物語 42

世間にはよくある話だが夫の友人と間違いを起こしてしまう人妻が居る。逆に、妻の親友と夫が妙な関係になることは少ない。僕の自分勝手な考えなので間違っているかもしれないが、男と女、双方それなりの倫理観を持っているのだが、女性のそれは(受動的)なので、強く働きかけられると弱い側面があるのかもしれない。女好きでどうしょうもなく不良の僕でさえ、妻や恋人の友人を誘惑したことは無い。むしろ必要以上に妻あるいは恋人に不信感を持たれないための努力をする。例えば飲み会等が終わって、さあ帰ろう。という時、順路からいけば恋人ーその友人となった場合、仕方なく最後に友人の女性を送ることになるが、彼女がタクシーを下りた途端恋人に電話する。(お疲れさま。今K子ちゃん下ろしたよ)と。恋人のほうも何となく時間を計っていたようで、「ああそうご苦労様、有り難うね」とくる。それから20分後、自宅に着いた僕は再び恋人に電話をかける。(今帰ってきた。もう着替えもしたから寝るね。おやすみなさい)これで完璧である。また、何となく事の成り行きで恋人の親友とメールや電話番号を交換しなければならなくなった時、その場では和気藹々とやりとりしておいて、後日、恋人の前でそれらの番号を消して見せる。中には消さなくたっていいんじゃあない。という女性も居るが、僕は(だって、僕が知ってても直接連絡することもないし)と言う。何も無いんだからそこまで神経を使わなくても。と思うかもしれないが、これが相手に対する思いやりではないかと僕は思う。中には、夫と一緒の時、必要以上に他の男性にベタベタしたがる女性が居るが、不必要に疑惑をもたれないほうがいいではないか。

労使問題に強い或る弁護士から電話がかかって「今ご依頼人が見えてるんだけど」と言う。聞いて見ると夫婦の問題で、弁護士のところに来ているのは夫のほうらしい。僕は(宜しければすぐ参りましょうか)と言うと、弁護士は「そうして下さい」と言う。事務所を飛び出した僕はタクシーでその弁護士事務所へ向かった。少し軽すぎる。と言う人も居るだろうが、このフットワークの良さが僕の取り得の一つだと思っている。同業者の中には、決して忙しくもないのに「ちょっと今、」とか、「お急ぎですか」などと勿体つけたり、馬鹿な奴に至っては、内容も良く聞かず「うちは高いですよ」とか言って二度とお呼びがかからなくなった人も居た。問い合わせがあればまず第一に「有り難うございます」といい、その後に続く弁護士の話し次第で、如何様にも応じます。と言う姿勢を示さなければならない。電話をかければ探偵が飛んでくる。或いは(よっぽど暇な探偵かな)と思われたって構わない。色んな評価は相手がすることだ。

ワンメーターちょっとで着くタクシーの中で考えた。僕は男女関係の調査で、依頼人が男性というのは余り好きじゃあない。僕が女好きだから。ということではなく、同性の辛そうな顔を見るのも嫌だし、いろんな意味で最後まで円満に終わったためしがない。どんな内容かな~等と考えているうち弁護士事務所に着いてしまった。事務員に案内されて応接室に赴くと、痩せぎすな50歳位の男性が座っていた。弁護士とは懇意にしているようで穏やかなムードが漂っている。「早かったね」依頼人に僕を紹介してくれながら嬉しそうにしている。

早速本題に入った。聞くと。依頼人の妻が依頼人の親友と懇ろになり大金を貢されているという。「まったく酷いやつで子供の頃からの友人で、彼の会社の面倒も見てやってたんですが、まさか私の女房にちょっかいだすとは」「ひでェ奴みたいだよ」弁護士も同調して怒っている。依頼人は公認会計士で妻は専業主婦。相手の男性は、会社を経営しているとは名ばかりで、毎日パチンコ屋に入り浸っている。勿論社員などはおらず、妻も居ない。生まれ育った町内の友人の妻ヒモになって生活を維持している。途中、依頼人が言う「この間あんまり腹が立ったので妻の鏡台を庭に落としてやりました」あ~あそんなことをするから妻に馬鹿にされるんだよ。僕はそう思ったが勿論口には出さなかった。---------------------