探偵日記

探偵日記 7月25日土曜日 晴れ

昨日、休肝日にしたので快適な目覚めだった。6時前に家を出て、大泉のジョナサンでモーニングを食べ、新座市にあるゴルフ練習場へ。照りつける陽射しの中、ひととのやCCの18ホールを想定して打ち込み9時15分帰宅。すぐにジムへ行きマシンとプールを1時間少々。シャワーをして、事務所に来る。こんな日は、クーラーの効いた部屋で妙齢の女性と、じゃあなかった。麻雀でもしてたほうが身のためっていうものだ。

れんげ 16

 街にジングルベルが流れる頃、楓は何時ものようにシロが喜びそうな食べ物を用意し、まだ少し時間が有るので洗濯機を回したりしてリビングで過ごしていた。(そろそろシロたちが現われるころだ)という時間になったので、用意した食料を袋に入れて外に出た。車の通る道からあぜ道に入り、畑の横に一本だけ立っている百日紅の木まで来たとき、キャンキャンと大きな叫び声が聞こえ、続いてシロの吠える声がする。啼いているのは子犬の方だ。何か、恐怖に怯えたような啼き方で、シロともどもパニックに陥っている気配が窺えた。どうしたんだろう。楓は畑の中を声のする方向に走り、(シロちゃん)と何度か呼びかけてみた。そのあと、野菜畑を分け入って、楓は絶句した。楓が見たのは子犬が何かの罠に足を挟まれ、その罠から逃れようとして必至にもがいていた。その子犬の姿と、子犬を助けようとして半狂乱になって、子犬の周りをただ走り回っているシロだった。楓は、子犬の足を挟みつけているものがなんだか分らないが、鋭利な金属のようであり、犬が自ら取り外せるような簡単なものではないようだったし、楓としても手立ては思い浮かばなかった。
 子犬は、恐怖と痛みで狂ったように暴れ回り、何とか逃れようと錯乱状態になっている。暫し呆然としていた楓は、やがて我に返り、携帯電話で110番した。後に、楓は、(私がしたことは間違っていた)と、述懐するのだが。ーーーーーーーーーーーーーー