探偵日記 8月11日火曜日 晴れ
電車も都内の道も空いているように思う。早い人は8日からお盆休みに入ったようだ。知人は昨日からイタリアに家族旅行と言っていた。だけど、飛行機の嫌いな(否、怖い)僕は羨ましくない。せいぜい郷里の山口に車で長距離ドライブするぐらいかな。
れんげ 26
茶々もそうだ。ずいぶん慣れてきたはずだが、体を触らせることもなく、唯我独尊という感じで日々過ごしている。
そうした或る日のこと。田の畦にれんげが咲き始め、その日も早朝茶々を連れて歩いていた時、やはり同じような時間帯にジャックラッセル犬を連れて散歩する老人と出会い、何時ものように挨拶を交わした。ひかるが、お早うございます。と言うと、老人が「良い季節になりましたね。れんげが綺麗だ。」と応じた。すると、二人のことや、ジャックラッセルのことを無視して、雑草の中に鼻を入れて何やら探す仕草をしていた茶々が、突然老人を振り返り、尻尾を振りながらじっと見つめた。その様子を見てひかるは、もしかしたら茶々は、私のところに来るまでれんげと呼ばれていたんじゃあないか。と思い。老人と離れたあと、しゃがんで、(れんげ)と呼んでみた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー