水曜日、晴。東京は本日35℃まで上がるとか、幸い、夏には比較的強いので暑さは気にならないが年齢のせいか汗をかくようになった。昨日の尾行調査、調査員たちは大変だったと思う。僕も現場を知っているが、まったく日陰のない駐車場から、目の前にあるラブホテルの出入りを監視しなければならない。しかし、今は必須で尾行用の車両があるから多少楽かもしれない。何しろ、僕の若い頃は立張り(立ったままで張り込むこと)が常識だったから。
[ 不倫考 7 ]
二人はラブホテルなどには行かずマルヒはもっぱら一人暮らしの男(すでに妻には逃げらている)の家に入りびたっていた。依頼人にしてみればたまったものじゃないだろう。生まれ育った地元で、女房に浮気され、しかも相手が小学校からの同級生だ。笑いものになって忸怩たる思いで日々過ごし、時には堪忍袋の緒が切れて二階から嫁入り道具を投げ捨てたくもなるだろう。大きな体に似合わず気が弱く優しい性格の依頼人は、頭の先から足の指まで妻になめられているようで、生活費も潤沢に渡している。その大半を男に貢がれているわけだ。 その後、どういう気まぐれかマルヒのたっての希望で一泊旅行に出かけ、不倫調査としては動かぬ証拠を得て一件落着したが、ガンの手術も受けていた依頼人は間もなく亡くなった。想像だが、保険金、遺産など数億円を手にしたマルヒは嬉々としてヒモ男の元に行ったに違いない。・・・