探偵日記

探偵日記 3月16日月曜日 晴れのち雨とか

今朝4日ぶりにタイちゃんの散歩をする。朝5時でももう寒くは無い。何時ものように駅前からパールセンターに入り、往復して帰宅。ちょうど1時間歩き3800歩。手を洗って水を飲み、またベッドへ。8時に起こされて朝食。11時、2年目の定期点検でヤナセに車を持って行く。11800マイル走行しているが何処も悪い所は無いが、これから長距離を走る予定があるのでしっかり見て欲しい。何しろ、GWには片道1100キロ走って山口県下関まで帰らなければならない。幼友達とのゴルフが楽しみである。

新宿・犬鳴探偵事務所 8-2

 東京池袋に「大日本関東軍」という右翼団体がある。首領は「高柳亮太」実父はS会系の某組の重鎮である。この実父は、経済ヤクザで、頭も切れた。後に、上場企業を乗っ取り社長に納まったことからも頷ける。その息子が、父に憧れヤクザになろうとしたが、父親は、「これからはヤクザの時代じゃない」と言い聞かせ、彼が大学を卒業するや僅かな金を持たせて旅に出した。(とにかく、自分で稼ぎながら世界をひと回りして来い)と言ったらしい。彼は、父親の言いつけをしっかり守り1年数ヵ月後帰国して、母校の同窓生や後輩を募り、政治結社(右翼団体)を結成した。何しろ、彼の母校と言えば、卒業生の大半が、暴力団か自衛隊、または警察官にと言われるぐらい、頭脳はともかく喧嘩だけはめっぽう強いことで有名な大学だった。集まった隊員も強者ぞろいで、仮に、ヤクザになれば間違いなく数年で幹部になるだろう。

 犬鳴はひょんなことで知り合った高柳に連絡して、新宿三丁目の喫茶店「ゴロー」で会った。余談ながら、この喫茶店は、犬鳴が毎日訪れる雀荘に近く、店名が自分の名前と一緒ということもあって、良く利用している店だった。毎度のことながら高柳は10名ぐらいの隊員を連れてやってきた。喫茶店ゴローは、我々だけで半分ぐらい占められる。それは良いとして、いずれもひと目見てそれと見間違う男ばかりである。他の客がちょっと覗いて怖そうな顔をして帰ってゆく。しかし、本題に入ると隊員たちは離れた席に移動して、静かにコーヒーを飲んでいる。「お久しぶりです。」高柳が年うえの犬鳴に丁寧に挨拶する。少し前、法廷に立つ依頼人が、暴力団に拉致されそうになり、警護を頼んだことがあって、気心は知れていた。(隊長、今度はI会が相手なんだけど、隊長も良く知ってるあいつの元女房が悪さしてるんだよ。)と言って、犬鳴の依頼人が経営している風俗店を件の女性に乗っ取られた話をした。蛇の道は蛇である。高柳は犬鳴の話をちょっと聞いただけで、「面白そうですね」と破顔した。

 高柳と、相手の女性やそのバックの連中を話し合いのテーブルに引っ張り出す方法について打ち合わせる。法律や常識の通じない相手であり状況だった。(どうする?)「そうですね。取り合えず歌舞伎町の店で暴れさせますか」高柳の考えは、隊員の若衆を客に仕立て、何でもいいから文句をつけて喧嘩沙汰にし、棄て台詞で、(人の店を勝手に営業してとんでもない。責任者を呼んでこい)と言って騒げば、その女かナンバー2が出てくるはずだ。という、少々乱暴な手法だが、仮に警察沙汰になればなったで、その時考えよう。と、二人の一致した意見は、(向こうも警察に駆け込めないだろう)というものだった。分ったそれで行こう。と決まり、高柳に(当面の軍資金だ)と言って、1千万円渡し、対象の店について、店長や名前だけの社長を特定し、その夜の行動を監視する役目は犬鳴の事務所が引き受けた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー