探偵日記 04月26日 日曜日 晴
今日は18時半帰宅。外はまだ薄明るい。町中の店店は閉じられてひっそりとしている。何だか虚しい。他の人たちはどうしているんだろう。そして何を思うのか?
山口の郷里では感染者が31人と頑張っている。もし、僕が帰って一人でも増えたら。ちゃらんぽらんな僕でさえそう思うのだからほとんどの人は都や国の要請を真摯に受け止め外出を控えているんだろう。
そして、我が国の経済は崩壊し、僕の事務所も50年余で閉鎖を余儀なくされるのか。
新宿・犬鳴探偵事務所 4-26
時はバブル野間最中、億のお金が飛び交う時代で少々の金額では驚きもしなかったが、目の前でひっそりと座る地味な印象の主婦の言葉にはさすがの犬鳴も唖然とし、(高いところから落ちてちょと変になってるのかな)と思った。犬鳴はこう諭す(奥さん、場合によっては離婚も避けられないかもしれませんよ。あなたには子供も二人いるんでしょう、お金は大事ですよ)と。すると、彼女は「いいんです。私のお金が無くなっても母が私の倍持ってますから」と言う。う~ん。いい加減な性格の犬鳴もちょっと考えさせられた。当時事務所はかなり潤っていたのでお金は要らない。ましてや、山陰の片田舎から出てきた田舎者の犬鳴である。目の前に数十億円を持ってて、(どうにでもしてくれ)と言う依頼人がいたとて、じゃあどうすればいいのか思いつかなかった。(まいったな)と思うばかりである。ただ、大きなお金を言われたからとて取り乱すわけにもいかない。熟考の上こう言った(分かりました。奥さんの期待に沿えるかどうかわかりませんが精一杯やってみましょう。但し、費用についてはかかっただけを支払って頂きます。)その後、調査方法は任せて頂きたい、そして、その都度、費用は相談しながら決めましょう。などと言い、やっと納得してもらい帰って頂いた。・・・・・