探偵日記

探偵日記 9月7日月曜日 雨

台風が2つやってくるらしい。予報を聞いて、ああ、こりゃあ水曜日のコンペはダメかな。と思った。10時に、新規の依頼人の家を訪問。契約を済ませて事務所へ。案件は、未成年の子供の家出。ほとんど手がかりはなし。同じ子供を持つ親としては切ない話。ゴルフどころじゃあない。調査員に発破をかけて何とかしたい。と考える。

れんげ 42

 午前10時40分過ぎ、山本家に着いた。まだ比較的新らしい二階建ての家だった。鷲宮家よりも広い庭があり、その庭に、先住犬のビッキーと家族全員が待っていた。「お早うございます。ちょっと遅くなりました」ひかるが、車からケージを出しながら挨拶すると、ビッキーが飛びついてきた。「だめだめビッキー」優しく言いながら夫がビッキーを抱きかかえ、ケージから出したれんげの頭を妻がなでる。娘さんも満面の笑みを浮かべれんげを歓待する。れんげは、ケージから出る時ちょと尻込みしたが、すぐに先住犬のビッキーとじゃれあって遊び始めた。数ヶ月前だったなら決してこうはならなかっただろう。犬として、人間界の社会性はきちんと身についたようだ。ひかるはそんなれんげを見やって、満足するとともに、誇りに思った。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー