探偵日記 02月14日火曜日 晴れ
今日も一番乗りで事務所に着いた。自分でも本当に貧乏性だと思う。もう、そんなに早く来る必要はないのに、ベッドで横になっているのが罪悪に思えてしまう。ただ、今日は大事な面談が1件控えている。どのように説明したら良いのか迷う案件である。探偵は(やむくもに人のあらを探す仕事ではない)通常の調査を進めてゆくうち思いがけない事実に遭遇するのであって、実は、探偵自身も驚いたり悲しんだりするのである。しかし、得た情報を歪曲したり糊塗する事は出来ない。あくまでも真実を報告する義務がある。でも。である。その調査結果によってマルヒや依頼人の人生が変化したり、頓挫、停滞することになる。これが法人の調査の場合、(取引には一考を要す)であり、悪質なときは今後の取引を中止すべき。という結論を出す。しかし、人の場合、その判断がしばしば曇ることがある。僕が優しすぎるからだろうか。
10日のブログの続き。
マルヒのS子の本籍だけが異なっている。ふ~ん。彼女は交際相手に対し「自分は未婚で勿論離婚歴もありません」と明言している。しかし、父親の戸籍に入っている独身女性がその戸籍から除かれる(除籍と言う)のは、 イ)婚姻のため、そして、自身の戸籍を編製するに至るのは、離婚後、元の父親の戸籍に戻らない場合(復籍と言う)ロ)婚姻により子供が出来、離婚後親権を得た時は戻りたくても戻れない。ハ)不倫相手との間に子をもうけシングルマザーになった時。ニ)筆頭者である父親を嫌悪し、生家を毛嫌いして、戸籍上そこに留まっているのが死ぬほど嫌な時。但し、20歳以上の成人に限るという条件がある。などで、いずれにしても決して尋常な状態ではないのである。そして、S子の新しい本籍地を見て再び驚いた。なんと、千代田区千代田1番。皇居になっていた。------------