探偵日記 03月09日木曜日 晴れ
昨日今日と良い陽気の日が続き、本格的な春の到来を感じる。とはいっても、特別心が弾むわけでもなく、寒がり屋の僕にとって、過ごしやすくなっただけのことである。ゴルフの調子も悪く、麻雀も負け続けているし、体調もいまいち。「春は名のみわが身は侘し」だ。打開策と言っては何だが、こんな時は何かでっかい事件の依頼があれば、鬱々とした気分も瞬時に解消する。という程度の単純明快な「探偵」なのである。
探偵とは 6
帰り道、Kに聞いた(あのさ~あれって官名詐称じゃあねえの)Kは不敵に笑い「フクちゃんバレ元だよ。」と言う。そして、警察手帳そっくりの黒皮の手帳を見せ、「フクちゃんにも作ってやろうか」と言うので即座に断った。おっちょこちょいで軽薄な僕だが、そのくらいの危機管理は出来たのだろう。しかし、後輩のくせして「フクちゃん」はないだろう。と思ったが、そんなことで文句を言う気にもならず、以来、彼との連絡が途絶えるまでフクちゃんは続いた。やがて僕が独立し、その後すぐにKも千代田区一番町あたりに事務所を設けた。事務所を訪れた元同僚によると、調査員全員(といっても2~3名だったが)に警官の制服を着せ、正面と横から撮った写真を貼りつけた手帳を持たせていたらしい。罪はともかく、内偵(聞き込み、情報収集など)には絶大な効果を上げたことは言うまでもない。