探偵日記

探偵日記 04月05日木曜日 曇のち晴れ

最近は比較的早く寝るので体調も前ほど悪くない。今日も朝食の後すぐに支度をして事務所へ。というのも、その日に確かな予定があるからだと思う。今日は、16時半、港区の会社を訪問する。初めてお会いする社長はどんな人か好奇心の旺盛な僕はじぶんなりに想像してその時を待つ。
数年前、夫の素行調査をしたが、その時のご依頼人の親戚筋の人らしい。「いや~あの時の報告書拝見しましたが、しっかり調査されてて感心しました」といって褒められた。手前味噌になるが、僕は探偵になって50年、自信の持てない報告書を提出したことは無い。もうずいぶん昔の話。僕の事務所で出した報告書が裁判の証拠として採用されたことがある。まあ、よくあることではあるが。その裁判で、裁判官が「この調査は良くできている」と言ったらしい。と、こちら側の弁護士さんがおっしゃっていた。まさに探偵冥利に尽きるが、万事こうでなくてはならないと思う。

株式会社ティー・ディー・エーの歴史

1、創業の頃

前にも何度か書いたが、我が国最大の調査会社「帝國データバンク」(当時の帝国興信所)に叔父が勤めていた関係で僕もこの世界に入った。昭和42年、定職に就かずぶらぶらしている僕を案じた生母が、兄である僕の叔父に「兄さんあの子なんとかしてよ。このままだとヤクザにでもなっちゃう」と言って、相談し、本当にヤクザの組に入る寸前だった僕を引き受けてくれた。らしい。或る日、その叔父に連れられてある会社を訪問した。素人の僕が見ても(大した会社じゃあないな)と思えるほどの規模で、確か解体業の会社だったと思う。世間話を終えて外に出た叔父が、「ほら政(僕の本名はタダシという)」と言って5万円くれた。当時大卒の初任給が4~5万円の時である。驚いた僕は(ど、どうしたんですかこれ)叔父は笑って何も言わなかったが、僕は、ふ~んこりゃあいい商売かも。と思ったのが始まりで、言い換えれば(運のつき)だったのかもしれない。--------------