探偵日記 11月20日火曜日 晴れ
11時、中央線「国立」駅前の喫茶店で依頼人と会う。12時40分事務所に戻って、ランチの後2時半顧問先へ。取締役と打ち合わせの後、相模原まで同行。相手側の代理人(弁護士)と面談。当該弁護士はまだ若く、何も知らされず詐欺師の代理人となって我々と交渉するわけだ。数年前こんな依頼が入った。依頼人はある若い男に高額の配当を約束され3億円を預けた。もちろん何の保証もなく男の弁舌に惑わされただけ。翌日、依頼人の元に某弁護士から文書が来て、「資金ショートした。20パーセントお返しするので勘弁してくれ」と言われた。若い男は行方を晦ませ事後処理に弁護士を雇ったらしい。その時点で、男はなんと150憶円を集めていた。わずか数か月の間のことだった。客に20パーセント返還し、弁護士に10憶円の謝礼を払っても110憶円手元に残る。
今回の詐欺師は3憶円程度だろうから小者と言ってよい。前の案件の依頼人は「3憶円ぽっちのことで恥ずかしいから諦めます」とのたもうたが、顧問先の取締役はサラリーマンである。果たしてどんな結末になるか。