探偵日記 02月18日月曜日 晴
比較的暖かい朝、朝食の後、早々に支度を済ませ事務所へ。通勤時間はおよそ30分。何があるということではないが週の初めは気が引き締まる。今日は報告書の作成と面接が1件ある。29歳の女性、(探偵に興味があって)というのが志望理由。しかし今までの経験から(面白そうだ)ていどの意識じゃあ長続きしない。反対に、事務所的も後期高齢者の僕が責任者では何時までもつか分からない。というと、折角夢を抱いて業界の門を叩いてくれる人には失礼だろう。ただ、僕は、「東京調査業協同組合」の役員でもある。組合員同士調査員のかしかりもあり、また、斡旋も行う。したがって、本日面接に来る人の情熱を無駄にすることはない。いずれにしても、去るよりも人が訪れることはいいことだ。当事務所も、僕が開業したころは電話当番の女子事務員一人だった。数年後、男の子が一人入り、やがて二人となり、昭和の終わり頃には、諸々の関係者を含めると30名近くなっていた。思い返せば事務所も活気に溢れていたし、勢いもあった。不思議なもので、そういうことは外にも伝わるものらしく、今では考えられないが毎日のように新しい依頼が入った。温故知新というが、古き良き時代は懐かしいもののこの先については「五里霧中」である。