探偵日記

探偵日記 12月19日木曜日 曇り

何時もの時間に起き何時もの様に朝ご飯を頂く。何時に帰ろうと、体調が悪かろうとこのルーティンは変わらない。
僕は超のつくちゃらんぽらんな人間だけど「日課」というか日々の生活のリズムは大事にする。また、外野の、特に女性からは(嘘つくな)とお叱りを受けるかもしれないが、人との約束や時間はきちんと守る方だと思う。なぜか、一つには弱虫、もう一つは見栄っ張りだからだろうと思う。とにかく、相手がどう思うだろうか。ということがものすごく気になる性分である。だったらもう少し品行方正に暮らせばいいものをそうはいかない。いわゆる(遊び人)なのだ。昨日、手こずっていた所在調査が解決した。依頼人は「年を越してもかまいません」とおっしゃってくれていたが事務所としては一安心である。こうして、いかに難易度が高かろうと時間をかければ結果が出るものだ。しかも、この種の調査は時間がいくらかかろうと報酬は変わらない。我がTDA探偵事務所は超良心的なのである。

ゆうこ 4

こうして会長とゆうこの奇妙な生活が始まった。高級マンションの管理人(最近は一流ホテルと勘違いするような玄関周りで、黒っぽい背広を着た紳士が常駐している)には、娘だと紹介された。定時に制服を射て学校へ、会長はその後会社へ。先にゆうこが帰宅。間もなく会長が社用車のリムジンで帰宅。(おかえりなさ~い)と出迎えるゆうこは快調の指示で一糸まとわず全裸である。70歳に手が届こうという男にしてはすこぶる元気だ。勿論、日中は通いのお手伝いさんもいるのでゆうこは何もしなくていいし夕食も出来ている。マンションと学校の往復だけなのにゆうこは使いきれないほどのお小遣いを貰い、そのうえ、ゴールドのクレジットカードを3枚与えられた。しかし、人間の欲望は果てしない。ゆうこはものの2か月も過ぎると飽きてきた。何だかんだと理由をつけて帰宅が遅くなり、休日は朝早くから出かけるようになった。
新宿の、これも超の付く貧乏探偵事務所の電話が珍しく鳴った。びっくりして、別に驚くこともなのだが、最近は顧問先の会社や馴染みの弁護士事務所など携帯で呼ばれることが多く、固定電話はほとんど用なしみたいなものだから、何だろう?また営業の電話だろう(最近は電話による営業が盛んで、勇んで出てもがっかりするばかり)と思って出ると、若い女性の声で「私、A社の秘書課に勤めるものですが、今御社のホームページを拝見してご連絡いたしました」と言う。でもまだ安心はできない。うっかり応対すると、「営業効果を高めませんか」などと言葉巧みに営業される。だから僕は冷たく(営業なら結構です)と言ってやった。すると先方の女性は慌てた様子で「いえ営業ではありません調査のご依頼をしたくておかけしました」と言う。・・・・