探偵日記 01月02日木曜日 晴
08時に起床。昨夜は休肝日にしたので目覚めは悪くない。ちょうど始まった箱根駅伝を見ながら朝食を摂る。何時もの正月の景色である。
一区を創価大学がトップで襷を繋いだところでテレビの前から自室に移動パソコンに向かう。きょうはこれからシャワーをして伊勢丹にグレープフルーツ、お味噌、梅干、を買いに行く。否、そのように指示され、半分嫌々行く。味噌売り場のおばさんが「まあ、ご主人にお味噌を買いにこさせるなんてとんでもない奥さんですね」(そんなことは言わないが・・)しかし、もう顔馴染みで、僕がフルーツのほうに行ってる間にちゃんと用意しておいてくれる。ついでに、お年賀のみかん1箱買って雀荘の「紳士クラブ」(名前負けで客のほとんどは僕と同じレベル。とてもジェントルマンとは言えない)に、お年玉をばらまきに行く。(笑)
新宿・犬鳴探偵事務所 2
青い海と灰色にくすんだ堤防に、白い船、コントラストの美しい狭い湾を防波堤が囲み、その中に、大小さまざまの漁船が停泊している。ちょうど下関から40キロのところにある村のはずれ、うっかりすると見過ごしてしまいそうな木板に、小さな文字で「犬鳴峠」と書かれた標識があり、峠に沿って海岸からまっすぐ海に伸びる岬が湾の左側を、まるで荒海に挑むように突き出ている。村人は、岩で出来たこの小さな出っ張りを、峠とともに、犬鳴(いんなき)岬と呼んでいる。犬鳴は、この地方の言葉で、帰ることを(いぬー去ぬ)と言う。去り難いくらい美しい景観であるらしい。
昭和20年11月、その前の年、朝鮮の京城で生まれた吾朗は、終戦とともに、母方の郷里である山口県宇賀村に引き揚げ、18歳までここで成長した。・・・・