探偵日記

探偵日記 02月05日水曜日 晴

絶好のゴルフ日和、スタートも遅く7時半阿佐ヶ谷駅でピックアップしてもらいコースへ。昨晩も酒を控えめにして、睡眠もたっぷりとった。
スタートホール、右に引っ掛けてボギー。次もボギー。3番ロングホール、何だか変なことをして4パットの9.これで今日のゴルフは終わった。レッスンや練習は何だったのか?(笑)
阿佐ヶ谷に帰って、何時ものように残念会して、20時半帰宅。明日からは、頑張って仕事をしよう。

新宿・犬鳴探偵事務所 2-5

怒りの時が過ぎ、体の力が抜けたようにソファのもたれ、「先生、私どうしたらいいんでしょう」と聞く。もう、昨日のような迫力はない。縋りつくような目で犬鳴を見てとうとうな泣き出した。
依頼人の女性が犬鳴の前で泣き出すことは良くある。だから犬鳴も別の驚きはしないが、あんなに元気のよかった依頼人が。と、思うと可哀そうになる。今の依頼人は(夫を看護婦風情に寝取られた)とは思っていないはずだ。少々我儘で、何不自由なく育った依頼人は、今まで本当の挫折を経験したことは無いだろう。今回のことも、世間に良くある(亭主の不倫)で、単純に浮気だろう。と割り切て来たはずだ。ましてや、夫が自分や子供を捨てることなんかないだろう。スタイルや容貌に加え、学歴や家庭背景、何一つとって比較しても工藤に劣る部分はない。犬鳴は、これまでの依頼人の話から、彼女が東京都内で誰もが知る総合病院の経営者の令嬢であることを知っている。その夫が、東北地方出身のさえない看護婦と家庭を天秤にかけて、一方をとるつもりなどないことも。ではなぜ?
後日、犬鳴は、マルヒこと柳原隼人の述懐を聞いた。それによると、勿論妻子を棄てるとか、工藤とやり直すほどの気持ちはなかったという。また、工藤に、(死んでやる)とか、病院中に触れ回って貴女も勤務していられないようにしてやる。と、脅されてはいたが、それが怖くてずるずると関係を続けていたわけではない。とも言った。さらにマルヒは「妊娠したと聞かされた時は正直困ったなと思いましたし、家に押しかけてこられた時も妻に申し訳ないと思いました。妻以外の女性とこういう関係になることも言語道断で、言い訳のしようもありません。ですが、どんなことを言われても何をされても彼女と別れるなんて一度も考えたことはありません」と。女性にとって、配偶者や恋人の心が自分から遠ざかる。ことを実感することがいかに辛いことなのか・・・・