探偵日記 02月06日木曜日 晴
部屋の窓を開けると富士山がくっきりと見える。寒い朝だった。10時、家を出てまず新宿に。13時半、伊勢丹の7階で調査員とランチ。15時、麹町の法律事務所へ報告書を持って訪問。請求書もお渡しする。
その後、行きつけの床屋さんに行って、18時帰宅。少し風邪気味なので。明日は13時に、上海から来日した依頼人と面談。危ない歌舞伎町でかの国の人と会う。大丈夫かな~(笑)
18時半、阿佐ヶ谷の名店「えん家」で古い友人と食事の予定。同い年で、ぼくがゴルフの手ほどきを受けた人。8歳年上の女房はもう施設に入っているという。彼も喉頭ガンの手術をして声が出ない。今から40年以上前、散々通ったスナックのマスター懐かしい。
新宿・犬鳴探偵事務所 2-6
不倫の相手と「別れるつもりはない」と言い切ったマルヒを見て、馬鹿な奴だな~と思う反面、羨ましいというか、そこまで好きになれるものなのか、何事にもちゃらんぽらんな犬鳴は、不思議な場面に遭遇して理解不能だった。さらにマルヒは言う。「妻にもあの女のどこがいいんだ。と、責められましたが、とにかく好きなんです」「妻との結婚はそういう意味では失敗でした。いや、妻を嫌いだと言っているわけではありません。犬鳴さんには大分無理難題を言ったようですが、僕にはとてもかわいい女房です」と言い、少しはにかみながら、「矛盾するようで、上手く言えないんですが男と女の相性っていうか」
勿論依頼人のいない場所で会話だったが、犬鳴にも何となくわかるような気がした。確かに、夫婦に限らず、他のカップルを見て、へ~あんな奴と。と、感じることは良くある。それこそが男と女の奥深い所以であろう。
その後、三すくみの状態で柳原隼人を被調査人とした素行調査は続いた。マルヒは相変わらず依頼人を欺きながら工藤沙織との密会を重ね、依頼人、柳原夫人は日課のように犬鳴に会いに来る。調査を始めて3か月も経っただろうか、調査員の一人が犬鳴に「所長、ソバージュ目立ってきましたよ」と言って、尾行中のスナップを何枚か見せた。犬鳴には、特に変化はないように見えたが、夫人に見せると「もう5か月を過ぎている」と断言した。・・・・・