探偵日記

探偵日記 02月27日木曜日 晴

風の強い一日だった。ゆっくり家を出て、仕事仲間と伊勢丹でランチ。驚いたことに午後一時だと30分ぐらい待たなければならない7階のレストラン街がガラガラ。何時もは15人~20人は待っているイタリアンAGOが誰も座っていない。コロナのせいだろうか。アジア諸国の経済もかなりの痛手であろうと、他人ごとではなく思う。それでも我が貧乏事務所も来月の予定が幾つか出来てまずは一安心。夜は、ご依頼人と食事して12時に帰宅。明日も忙しい。

新宿・犬鳴探偵事務所 2-27

夫妻は「それでは明日帰りますが、沙織が犬鳴さんとお話がしたい。と申していますが如何でしょうか」と聞く。何だろうと思ったが、犬鳴は快く応じ、午後、ホテルに来るという沙織と会うことにして、一旦事務所に戻った。
午後2時、件のホテルで工藤沙織と面談した。何度か実物も見ているし、写真は山のように見せられていた。しかし、彼女を取り巻く状況が大きく変わった今、改めて見る沙織は、適齢期を迎えた女性の充実した魅力に加え、身ごもった女性の自信みたいなものが漂い、しっとりとした潤いのようなものも感じさせ最初に依頼人が言った(牛がソバージュをしているような)人とはほど遠く、Dr柳原が愛したことも十分うなずけた。
犬鳴が手を上げて合図をし、それに気づいた沙織が犬鳴の席にやってきた。犬鳴は開口一番(初めまして犬鳴です。今回は貴女にずいぶん酷いことをしたね)と言って、低頭した。沙織は、犬鳴を少しにらむような表情をした後、邪気のない笑顔になって「本当に、犬鳴さん、人の恋路を邪魔すると南部の馬に蹴られますわよ」と、言った。そう言えば沙織は昭和29年生まれの午だ。犬鳴は、隋分しゃれたジョークを言うなあと感心した。きっと頭もいい人なんだろう。マルヒはそんなところにも惚れたのだろう。・・・・・