探偵日記


2021・04・02 金曜日 曇り




ここ数日花粉症が酷い。仕事の集中力が衰え絶えず眠い感じである。特に困るのは、電車でくしゃみが出ること。隣に立つ可愛い女の子が極端に嫌な顔をして背中を向ける。(アレルギー性の鼻炎なんですコロナじゃあありません)といっても許してくれないだろう。本当に嫌な世の中になったものだ。ただ、仕事のほうは順調で、2日間で5件の問い合わせがあり、そのうち4件を受件した。ただ、何となくタイミングが悪く調査員は苦労している。




受件の妙味 5




或る日、めったに仕事に参加しない僕がマルヒの住むマンションの近くに行ったついでに様子を見に立ち寄った。すると、マルヒの部屋のメールボックスからはみ出した封書が見えた。普通の人は軽蔑するかもしれないが「探偵」は行動する。その封書はありきたりの白い長方形のものだったが、差出人が北海道の都市に住む女性の名前。近くのコンビニでコピーした後、元通りに修正して戻した。余談だが、或る弁護士に頼まれて自殺した人の遺言書を同様の方法でこっそり渡したことがあった。まあ、この弁護士は勇気があると言えばそうだが、その後僕は嫌いになって遠ざかった。




話しを元に戻す。マルヒのところに来た手紙の女性は思った通り不倫相手だった。しかもバツイチの同業者。「来週、学会で上京する会えるのを楽しみにしている」と書かれていた。(居たいた)その後、クリニックのほうに仕掛けておいた特殊工作をマンションに移す。毎日のように情熱的な会話をし、聞いてて恥ずかしくなるような危ない内容もあった。学会前日、羽田に着いた女医は真っ直ぐ六本木のホテルに入り、夕刻、仕事を終えたマルヒが訪問した。勿論、我が探偵事務所の調査員は隣の部屋をとり、隣室の(音)をすべて録音した。・・・・