探偵日記

探偵日記 03月27日金曜日 晴

本当にだらしなくなった。今日も歌舞伎町でちょっと食事して早々に帰宅。駅に降りて(歌って行こうかな)と考えたが、家に病人もいるし。と思いやめた。奥さんはもう2週間ぐらい酷い咳をしている。(病院に行ったら)と勧めるが、頑としていかない。世間では良く(似たもの夫婦)というが、我が家は真逆というか、病院大好きの夫と違いめったなことでは行こうとしない。家に帰ってきた僕の顔を見て「ねえ、私コロナだと思う」と言う。僕が(じゃあ僕も感染しているってこと)というと、「そうかもね」と。仮にそうなら、僕が毎日のように行く雀荘、クラブやカラオケスナック、喫茶店、友人、などみんな同病である。あまりにも無責任な発言に、怒るより呆れた。僕は思った。これって、かなり正当な「離婚理由」にならないかと。みなさんはどう思いますか?

新宿・探偵事務所 3-27

犬鳴探偵事務所の調査は思わぬ方向で犬鳴が予測しなかった展開を見せた。まだ30歳ちょっとの娘は、父親の動向を探ることに情熱を注ぎすぎ、夫の変化を見落としたようだ。或る時、調査員の一人がぼそりと言った一言で、犬鳴はマルヒを娘から娘の夫に変更した。理由はこうだ。すでに2か月以上調査をしたが、これといって、娘の瑕疵につながる状況を把握出来ぬまま少々マンネリ化していたところに、その調査員が何気なく「所長、銀行マンてえのはずいぶん忙しいんですね。亭主は毎日午前様だし、この間は、あれって部下なのかな~若い女性が車で家の近くまで送ってきたんです」と言った後、ちょうど横にいた同僚に同意を求める感じで、「おい、あの二人普通じゃアなかったよな。」と言う。犬鳴が(どういうことだ)と問うと、「いや~暗くて良く見えなかったんですが車の中で抱き合ってるように見えたんです」と。犬鳴が(勿論車のナンバー控えただろうな)と言うと、「ハイ、念のためナンバー照会もしてあります」※この頃は千円ちょと出せば陸運局で誰でも閲覧できて、その車両の所有者及び住所が判明した。
よし、今夜からその亭主の尾行をしよう。と指示した。・・・・・