探偵日記 03月16日月曜日 晴
朝出るとき、ちょと寒いかな。と、思い、コートを着て行こうかというと、「そんなに寒くないわよ」と言われスーツだけで家を出た。外に出た瞬間ブルっときたのでよっぽど家に戻ろうかと思ったがそのまま駅へ。これが大失敗だった。風も強くとても寒い1日となった。それでも3軒はしごして、11時に帰宅。明後日から暖かくなるとか、待ち遠しい。
新宿・犬鳴探偵事務所 3-16
井口夫婦は30年以上生活を営み、世間の誰もが夫婦と認めている。旧家故、親戚筋や世間体という柵もある。仮に別れるようなことになったらその弊害はゼロというわけにはいかないだろう。そんな中、タイミング良く夫が浮気をしてくれた。
昭和60年某月の或る日、杉並区内で主婦が首をつって自殺した。主婦は、地元で造園業を営む夫の女性関係で悩んでいたという。おそらく主婦は夫の浮気相手も分かっていたのだろう。と、思う。しかし、一方では、不倫相手の妻に死なれて、その心境はいかなるものか?仮にその女性を井口夫人としよう。大地主の一人娘として生まれ、蝶よ花よと育てられた世間知らずの夫人とて、呵責の念に苛まれなかっただろうか。ただ、それはそれとして、禁断の恋を棄てる勇気もない。一旦ことが起きたら(貴女だって同じことをしてるじゃあない)少々短絡すぎるかもしれないが、井口夫人がすがった拠り所はそんなところだろう。・・・・・・