探偵日記


2020年09月07日月曜日 曇り時々雨




テレビは台風のニュース一色。僕の郷里山口もケガ人が4人出たとか。ただ、僕の育った日本海に面した小さな漁村は湾になっており、背後の山に囲まれ風の影響を受けにくい地形であり、これまで大きな災害に遭遇したことはない。




朝食の後外を見ると土砂降りの雨。や~めた。雨の大嫌いな僕は瞬間的に外出を取りやめたが、こんな時に限ってよんどころない用事が出来る。9時半、トボトボと家を出る。




新宿・犬鳴探偵事務所




そうですかかしこまりましたじゃあ僕が。と言いそうになったが(君子危うきに近寄らず)という言葉を思い出し(分かりました。じゃあ、女性の調査員を伺わせましょう。どのくらいの期間をお考えですか)と返す。う~んそうですね、1週間、いや1ヵ月くらいかな~と思案気な顔をする。バックミラー越しに見える彼女はなかなか魅力的である。あの図書館ボーイ、なんでこんないい女を振ったんだろう。やがて車は箱崎をまわり北池袋で一般道に下り、彼女の指定する、彼女の住むアパートの近くで停車。犬鳴は(じゃあ、あとはお母さんと打ち合わせして、お母さんからご連絡して頂きますね)さらに、(真っ直ぐ部屋に戻ってください。僕は後方を確認して、その後、アパートの周辺を見て帰りますから)と告げて彼女を見送った。




翌日、依頼人と会い彼女の意向を話し着手することになった。依頼人は、夫が大阪で会社経営をするほかビルを数棟所有する資産家で、犬鳴が恐る恐る提示した費用をあっさり了承し、「それでは、私は一旦大阪に戻りますがまたすぐに出て参ります。くれぐれもよろしくお願いいたします」と言って帰って行った。その日の夜から石川という調査員(もちろん女性である)が彼女と生活することになったのだが。