探偵日記


2020・12・08火曜日 晴




いい天気だが午後は風が強くなるという。僕は雨も嫌いだが風も嫌だ。とにかく貧困家庭に育った割には軟弱に出来ている。そんな奴でも務まるのが「探偵」なんだろうか。若い頃、勤務していた神田の探偵事務所の先輩に誘われてバイトをした。理由を付けて休暇を貰い同僚3名で高齢の女性の浮気調査を行う。2月の超寒い日、マルヒの自宅は細い路地の奥にあって車を停めておくことが出来ず立張り(立って張り込むこと)となり、交代でやることになったが、あいにく雪が降り始め次第に本降りとなった。傘をさして1時間、しかし、ものの10分もすると手がかじかんで悪寒もしてきた。(もうやめよう)金なんか要らないからやめる。と言ったら先輩に「お前それでもプロか、一旦引き受けたら死んでもやるんだよ」と怒られた。僕と同僚のKは、(冗談じゃあねえよな、あんな婆相手にする男なんかいるもんか)と悪態をつきながら最終日、婆さん出てきた。山手線で渋谷に行き、同じような年齢の男と会いラブホに直行。エっ、若い探偵は信じられないものを見て、先輩の忠告が身に沁みた。・・・・