探偵日記


2020・12・07月曜日 晴




数日ブログの更新をサボった。特に時間が無かったわけではないが精神的な余裕が乏しかったようだ。どこかで、現在の負の連鎖から好転するための決定的な出来事が欲しいと思う。今日は、13時にテレビ局の関係者と会う。(こんなのどうでしょうか)と、新しい企画を局に売り込む算段のようで、僕及び事務所が協力することになるかもしれない。みんなこのコロナ禍の中もがいているのかもしれない。




不倫 13




マルヒと男が部屋に入って1時間過ぎた。隣の部屋の音を傍受する体制はとっくに終了し、僕はイヤホンを耳に装てんして聞いている。若い調査員には毒だろうと思い1階のロビーで待機するように指示(調査員は聞きたそうなそぶりだったが)隣ではテレビを見ながら会話したあと、シャワーを使う音が聞こえ、やがて何も聞こえなくなり、再び、若い調査員には聞かせたくない音声がテープに録音されてゆく。この日、二人は延々と痴態を繰り広げ8時間もの長きにわたる時間を過ごした。




これで、相手の男は一巻の終わりだろう。シティホテルの逢瀬なら不倫の決定的な証拠にならない。という知識があったかどうか分からないが、出入りの写真に加え部屋の睦言を取られては万事休すである。翌日、事務所にやって来た依頼人にテープを聞かせたところ、最初の数秒を聞き「もう結構です。女房の声で間違いありません」といった。長年夫婦生活を拒否されたが、新婚の頃に聞いた妻の声だったのだろう。苦渋に歪む顔で愛妻の不倫を認めた依頼人を、事務所の顧問弁護士に紹介し、3000万円の損害賠償を求めることでわが事務所の役割は終わった。その後、金額はかなり低くなったが二人は関係を認め、依頼人夫婦は離婚。相手の男性は目前にひかえた取締役就任の望みを絶たれた。・・・