探偵日記

探偵日記 10月28日金曜日 曇りのち雨とか

金曜日は楽しみな日の中の一つである。というのは、タイちゃん(犬)の散歩を免除され、さらに、土日と続く。それでも習慣とは恐ろしいもので、4時過ぎには一旦目覚める。耳を澄ますと廊下を隔てた隣室でもぞもぞと動き回る気配が伝わってくる。同室者(奥さん)は知らんぷりを決め込んでいるようだ。5時、やがて我慢できなくなったか(ワン)と一声鳴く。するとドアが開き普段ならば僕の部屋にまっしぐら。ドアに鼻をくっつけ催促するが、それでも起きてこないようならノックを始める。とまあ、そんなわけで今日から3日間はゆっくり休める。ということは帰宅時間を気にする必要もないから、気の向くまま何時までも飲めるし歌える。なのに、昨日は8時に帰宅。早くからベッドに入って日本シリーズを観戦した。白状すると、もう体力が続かないのだ。嗚呼。

ドラマチックな恋の結末 1

平成21年秋、珍しく僕が事務所に居ると、これも珍しく固定電話が鳴った。事務の高ちゃんが応対していたが、ハイ居ります少々お待ちください。と言いながら、僕に「読者の方のようです代わってください」と言う。僕はどうせ最近とみに増えた営業の電話だろうと思っていたが違うようだ。僕が双葉社さんの好意で処女版「七人の奇妙な依頼人」が出てまだ3年ぐらいしか経っておらず時々こうしたお電話を頂戴していたので、ハイハイと応じながら受話器を取った。若い女性の声。「あの~七人の奇妙な依頼人を書かれた方でしょうか」僕(そうです)女性「あの本を拝見して、母がこの人にお願いしたいと言うものですから私が代わりに電話しています。お会いできますでしょうか」僕(勿論です。有難うございます。)というわけで、田園調布に住むという母子とその日のうちに面談の約束をした。初体験だが、本を1冊出したことで講演の依頼は来るし、冷やかしを含めて調査の問い合わせも増えた。中には、「今、小菅の拘置所に居るんだけど出所後に採用してもらいたい」なんて手紙も来た。律儀な僕は、まあ採用はともかく出てきたら遊びにいらっしゃい。という内容の返信をした。ちょっと横道にそれたが、電話の主は30歳ぐらいで知性が感じられる物言いだった。依頼人は母親で、父のことを調べたい。と言っている。-----------------