探偵日記 8月26日月曜日晴れ
昨日は久しぶりに雨の中のゴルフになった。しかしそれも午前中で、午後は曇天となり涼しくプレー出来た。前日、20時にはベッドに入り、よせば良いのに誘眠剤を半分飲んだ。5時に起きればよいのでぐっすり寝ようと思ったのがいけなかった。半錠なのに9時間、途中起きることなく5時に携帯のアラームで目覚めた。常用していないので効きすぎたようだ。自分の運転でコースへ。雨が嫌いな上に薬も効いていたのだろうかミスを連発した。トリプル(パーより3ストローク多いこと)が4回だから論外のスコアといえよう。いかにWぺリア方式(隠しホールが沢山あってそこで大叩きすると案外良いハンデとなる)とはいえ上位には入るのは無理と思えた。午後は気合を入れて回ったのでそこそこのスコアで上がった。結果は、グロス4位。思ったほどハンデもつかずネットでも4位。競馬も取れず賞品の焼酎(魔王1升)を下げてすごすご帰宅する。
今朝は4時過ぎに起きてタイちゃんの散歩に行く。8時朝食。10時に事務所着。今日は19時に、全日空ホテルで新規の依頼人と打ち合わせ。紹介者の弁護士も同席の予定。依頼人は不動産会社のようで、購入して転売しようとしたビルの名義変更を法務局で拒否されたとのこと。従来の所有者が(売った覚えはありません)と言っているという。(へ~今時不動産の取引でそんなことがあるんですか)と聞くと、弁護士曰く「結構あるんです」と言う。詐欺る方は全知全能をかけて臨む。騙される善人は到底適わない。このブログでも紹介した「賃貸屋の朴」のような輩は結構居るもんだ。
自分勝手 1
不動産や金融絡みの詐欺は多い。先週号の週間文集を読むと、港区在住の老女(79歳)が、東京三菱UFJ銀行の若い社員に全財産の4億円を騙し取られた。という記事が載っていた。(必ず儲かる)と言って、外資のファンドに投資させたらしい。また、一部は自分の遊興費のために流用した模様。夫に先立たれ子供も居ない彼女は、食事に誘われ、時には旅行にも連れて行ってくれるイケメンに、一時の安らぎを覚えたのか。銀行も知らん顔は出来ないだろう。犬鳴は時々思う。(愛してる。僕と結婚して欲しい。必ず幸せにするから)と恋人に言って、晴れて結婚にこぎつけた。というカップルは枚挙にいとまない。しかし、数年、或いはもっと経ってから「他に好きな女性が出来たから別れてくれ」と言うのは「詐欺」にならないのだろうか。勿論、法律的にと言うのではない。心情的に。というのである。憎からず思っている男性からプロポーズされれば、大概の女性は受け入れるのではなかろうか。結婚式を挙げ、子供も授かり、やがてささやかなマイホームを得て、周囲も羨むようなアットホーム。ところが、配偶者の一方が期限無しの約束を違えることによって、何年、否、何十年をかけて築いた家庭でもあっという間に崩壊してしまう。
藤井達哉は俳優にしてもおかしくないような良い男である。今風というか、容姿だけを見ればそん所そこらのタレント等及ばない程である。年齢45歳。社内結婚して17年が経つ。子供は二人、二人とも女の子で、子煩悩な彼は時間さえあれば子供と過ごし、子供たちも(パパと一緒に入る)と言って、彼が帰宅するまでお風呂に入らない。妻の玲子はそんな生活を自慢に思っていた。産休は取ったが勤務を辞める気は無く、子供が小さい時は勤務の他に朝晩の送迎と家事に追われるが全く苦にならなかった。夫もそんな時「僕が迎えに行こうか」と言ってくれるが、任せたことは無い。というのも、ママ友の言う「藤井さんちのパパ素敵ね」という評判が心配で、もし保育園に行って彼女達に誘惑されるのが怖い。本気でそう思っていた。
一方の達哉も妻を愛し、全幅の信頼を寄せている。容姿こそ十人並みだが頭が良く常識も十分わきまえ、何より自分を大切にしてくれる。可愛い二人の子を交えた家庭の営みが壊れることを、むしろ妻以上に恐れても居た。とは言っても決して堅物というわけではなく、勤務先の飲み会にも積極的に参加し、請われればカラオケの二次会にも加わった。かっては、そんな藤井に好意を寄せて誘ってくる女子社員も居たが、決してそれ以上の付き合いに発展せず、最近では(愛妻家)のレッテルが磐石となって、誘惑も無くなってきた。悪友は(少しぐらい羽目をはずしたらどうだ。女房分らなきゃ良いんだ。お前ぐらいもてるのにもったいないよ)と唆すようなことをいう者もいるが、何時も笑って取り合わなかった。そう、あの日あの女性に会うまでは。-------