探偵日記 4月16日木曜日 晴れ
今日は少しぐずぐずして12時半に事務所へ。特別沢山飲んだわけでもないのに辛い。というより、これは気力の問題で、この日の目的が無いからだと思う。仮に、朝8時に大事な案件がスタートするような場合、現場に顔を出すだろうし場合によっては尾行に参加もするだろう。要するに怠けているのだ。それを年齢のせいにする。
Mという女 3
しかし、セックスをする目的で来た客を何にもしないで帰すわけには行かないし、それじゃあ商売にもならない。(あの~料金システムなんかはお分かりですか)と、聞いてみた。すると客はニッコリ笑って、「だいたいは承知していますがもう一度教えて下さい」と言う。Mは、自分の店の決まりを言った。(え~っと、1時間半で2万円で、2時間2万8千円です)すると客は「それでお願い致します」と几帳面に言う。じゃちょっと失礼致します。と、客に断って、店に電話をかけ(Mです。今、○×○×号室に入りました。お客様は2時間で。とおっしゃっています)店のママは、どんな男?と聞いたがMが言いよどんでいると、じゃ頑張って。といって電話を切った。
お楽になさいませんか。と促しても服を脱ごうとしない。じれたMは(じゃあ私は失礼してシャワーを使わせていただきます)と断って、ホテルに備え付けてあるバスローブに着替えた。客の若い男性はまだ背広を着たままだ。何となく勝手が違ったMは、応接セットに腰掛けている男のひざにもたれかかるようにして(こういう所はお初めてですか)と聞いてみた。男はもじもじしながら「ええ」と応える。普通、このくらいの男性は、Mが部屋に入るなりむしゃぶりついてくるし、シャワーを浴びる時間ももったいないぐらい急かせるものだ。一方のMも、決して嫌々この仕事をしているわけではない。いやむしろ、毎日が楽しくてしょうがないほどで、いわゆる(好き者)なのである。子供達も学童になって、夫とも月に一度有かないかという夫婦生活で、体を持て余していた。------