探偵日記 6月05日金曜日 曇り後雨とか
今朝8時、(ごはんですよ~)と起こされリビングに行く。まず冷水を飲んで、特製のジュース(朝鮮人参のエキス、黒酢、はちみつ、牛乳)を飲んで、すでに出されていた味噌汁を一口飲んでご飯を待つ。僕は根っからの和食党で、家ではは炊き立てのご飯しか食べない。女中が(いや違った妻が)炊飯器の所に行き蓋を開ける。素っ頓狂な声で「あら嫌だ、炊けてない)と言う。続けて、「ねえ、冷たいご飯でいい」と聞く。(嫌だ。じゃあ待つから早く炊いて。どのくらいかかるの?)と言うと、3~40分かな。ねえ、冷たいご飯じゃあダメ。とのこと。もう時間も無いので仕方なく、お湯で温めてお茶漬けみたいになったご飯を食べた。年に何回かこのようなアクシデントに見舞われる。最後のスイッチを押し忘れたそうだが、そんなことは一切しない僕は何のことか分らない。しかし、僕は本当に良い亭主だと思う。何が有っても決して怒らない。その代わり外で悪さをする。(笑)
教師と教師 5
小山内信雄は迷った。パンフレットを見ると自分が依頼する内容は(素行調査)らしい。1日尾行調査を行うと張込を開始してから仮に5時間で終ったとして、13万円位かかると書いてある。妻が何時あのコンビニに車を停めるか判らない。素早く料金かける日数で計算してみた。3日か、いや5日か。妻も自分も土日は自宅で過ごすことが多い。これまでのことを良く考えてみると、残業の多い妻は帰りが遅めだが、極端に遅くなるのは1日か2日、ほぼ1週間の内、月曜日から金曜日までで確実に1回は12時を越える日がある。数日間考え抜いた挙句、パンフレットに書かれてある番号に電話した。
3回ぐらい呼び出し音が鳴り相手が出た。(協同組合です)と、中年の落ち着いた声の男性が電話に出る。腹を決めた小山内は「調査をお願いしたいのですがどうしたら宜しいでしょうか」と聞いてみる。相手は、どんな内容か聞きもせず(貴方のご都合のいい日に何処にでも伺いますよ)と言う。ご自宅に伺っても良いし、ご指定の喫茶ってんでも良い。と言う。そして、(手前どもをどうしてお知りになりましたか)と聞いてくる。その間、電話をかけた所は、東京都内の探偵社で構成されている協同組合だから、ご依頼に内容や調査の場所によって業者を斡旋したい。とも言っていた。何だか経験の深そうな人で、自分の頼みたい内容も察しているように感じられた。小山内は、勤務先の受付でパンフレットを見たと伝え「自分はK県の職員で本庁に勤務している。自分の職場でどうか」と言うと、男性は、(承知しました。では私が伺いましょう。私も組合員の一人で、事務所名は、犬鳴探偵事務所、私は犬鳴です。)と自己紹介し、翌日のお昼休みに、勤務先に来てもらうことになった。------------