探偵稼業 8月19日水曜日 晴れ
酒を飲まなくても良く眠れる。10時半頃まで本を読み、1時過ぎにちょっと目が覚めたがすぐに寝たようだ。4時45分、部屋のドアをノックする忍びやかな音で目が覚めた。(まだちょっと早いかな)犬なりにご主人様の生活のリズムを考えているのか。いいや、我が家の皇太子にはそんな気遣いはないはずだ。支度をしてドアを開けるとピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。ヨイショッと抱きかかえて階下に降りる。断酒中で体調もいいので、今日は好きなだけ散歩させてやろうと思い、歩くがまま。にしたら、なんと、1時間15分徘徊された。----------------
れんげ 30
ひかるは、れんげがだんだん可愛くなっていった。幸も居なくなったんだからこの子を我が家の飼い犬にしようか。子供達もそんな気持ちで居る気配である。しかし、里親を探すために一時的に預かった犬である。自分の勝手でそんなことも出来ないだろう。と思っていたら、れんげを紹介しているひかるのブログに「次回の里親会に、れんげちゃんを見に参加します。」という投稿があった。
一般に、里親会に来て気に入った犬を探すのは子供の無い夫婦が多い。或いは、一人暮らしで、日々の無聊を癒す目的で求める人も居る。また、根っからの犬好き(ネコの場合もあるが)で、しかも慈悲深く、薄幸の犬に愛情を注ぐ事に生きがいを感じる人も居る。そんな人たちの中には、特に、病気や障害を持っている犬を好んで選ぶ人も居た。しかし中には稀に、虐待目的で里親になろうとする輩も居て「譲渡」には多いに気を配らなければならない。(ああ、この子可愛いから貰って行くわ)というような簡単なものではない。きちんと契約書を交わし、預かり家で負担した医療費(ワクチンや避妊のための費用など)を、新しい飼い主として負担する義務もある。そして何より、本当に愛情を持って飼育してくれるのか、家族にしてくれるのか。を、見極める必要もある。
れんげを見たいと言ってきた夫婦は、調布市深大寺近くに住み、娘一人と、先住犬が一匹居るという。家族全員職業を持っており、日中は不在になるが丸一日家を空けることは無いという。(では、来週の里親会の会場でお会いしましょう)と返信し、その日を待った。れんげはこれまでも数回里親会に参加したが、条件の合う里親に巡り会えていない。或る時は、マンションの所有者で、一階にオフィスがあり、そこで飼いたい。という人が居た。しかし良く聞いてみると、自宅は別にあって、夜になればれんげが一人で留守番をしなければならないという。まあそれはそれでありかな。と思ったひかるだが熟考の上断った。ひかるの考えは、出来ればれんげに限らず孤独にさせたくない。と思っている。シャッターの降りた暗い部屋で一晩中過ごさせるなんてとても出来ない。れんげは、すんでのところで、命を落すところだった。ボランティアグループ「ポチの家」が年末助け出さなければ確実に殺処分されていただろう。ひかるには分らないことだが、れんげはその前に、傷ついた我が子と引き裂かれている。(もう淋しい思いや辛い思いはさせたくない)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー