探偵日記 12月24日土曜日 晴れ
昨日は緊急の案件で川崎まで行った。あいにく尋ねた人が不在で無駄足になったがメモを置いて来たので連絡をくれればいいが。と思っている。今日も土曜日だが所用があって車で事務所へ。夜は恒例になったステーキ店で家族とイヴの乾杯をする予定。慌ただしい年末になりそうである。
ロマンチックな恋の結末 30
東京に帰って、母娘でマルヒの日記や写真あるいはメモなどを整理するという。二人はまだ僕の名前でとったホテル住まいである。(ご不便でしょうね)と問うと、二人は「いいえ快適です」と言う。一方のマルヒもホテルでの生活を余儀なくされ、弁護士事務所を毎日のように訪問して、「先生何とか良い方法を考えてください。」と迫っているらしい。そして二言目には「妻の分も含めて費用はすべて私がお支払いいたします。」と言っているようだが、弁護士としてはとんでもない申し出で、そんなことをして、後で異議を唱えられれば、倫理委員会にかけられ「懲戒」処分を受ける羽目になる。
そんなこんなで膠着状態が続き、母娘も弁護士の助言で自宅に戻ることになった。マルヒはそんなことは露知らず相変わらずホテルに留まり、時々は大学に行く生活のようで、何度も面談している弁護士は「いやあ、夫のほうの力になってあげたくなっちゃいますよ」と言う。話せば話すほど好人物に思えるらしく、頑なな主張を繰り返す依頼人母娘にうんざりしている様子も窺えた。これは探偵にとっても同じような気持になることが良くあって、確かに浮気をしたマルヒが悪いとは思うが、思わず同情することもままある。ただ、そんな妻にしたのは誰~れ。になるのだが。