探偵日記 03月31土曜日 晴れ
本当に探偵は日曜日も土曜日も無い。というわけで、今日も事務所に出勤。抱えている案件の整理と、ちょっと現場を見る。一人暮らしの女性のアパート。病弱で通院しているという情報が果たして正しいのかどうか。数日張り込んで動きがあれば尾行しなくてはいけない。もっとも、彼女に責任のあることではない。そんなことを理由に自分の立場を有利にしようとする奴の調査である。
結婚詐欺P3
例2 次は、男性が被害に遭った例。村瀬和夫は来年で50歳になろうとしていた。自宅は調布市にあり、都内の工作機メーカーに勤務する平凡な人物。父親は早くに亡くなり母親と二人暮らしである。自宅の他に数軒のアパートなども持ち、近所では(ちょっとしたお金持ち)の一人として可もなく不可もない評価をされていた。大学を出てから20数年。酒もたばこもやらず、勿論競馬やマージャンも一切しない。とにかく、定刻に自宅を出て、晩御飯は母親と一緒に食べるのが唯一の楽しみだというからガールフレンドもいない。探偵が(会社の旅行とか飲み会もあるでしょう)と聞くと、「もちろん最低限の参加はしますよ」と応え、まんざら変人扱いをされているわけでもなさそうだった。ただ、最近になって無性に結婚したいと思うようになったという。真面目で小心者。40歳の頃から薄くなり始め今ではかなり後退している。言葉もはっきりせず、人から声をかけられても返答に時間がかかるので会話が進まない。ある時、通勤電車の中で拾ったスポーツ新聞を何気なく読んでいたら、(素敵な結婚相手を今すぐ貴方に)という見出しが目に入った。広告主は「サファイア結婚相談所」で、結婚願望のある人は今すぐお電話を。と書いてある。