探偵日記

探偵日記 05月04日土曜日 晴

久しぶりに事務所に来た。GWも後半に入り、家でぼ~としてるのも飽きた。本当なら今頃山口の郷里でゴルフしてるだろう。特に、午後6時半ころ日本海に沈む夕日は絶景で、リビングでワインか何かを飲みながら眺めて悦に入っているはずだった。先月、女房が大けがさえしなかったら。最近の僕は「主夫」専業で、朝食の支度から洗い物、ごみ捨て、クリーニング通いまで何でもこなす。夜は夜でよちよち歩きの女房を伴って駅周辺の店で夕飯を済ませ、我が家に送り届けて、元気が残っていたらステージへ。しかし、たいがいはそのままベッドにもぐりこむ。日々暮らしの変化についてゆけずくたくたになるのだ。
そこで本日は気晴らしに事務所でこのブログを書いている。

詐欺師k 11

或る時、kが言う。「ふくちゃん国金でお金借りたことある?」と。(なにそれ?)と聞くと、大手町にある国民金融公庫に行くと簡単に融資が受けられるらしい。独立したての僕は当たり前だが貧乏だ。すでに子供も二人いて空腹にさせるわけにはいかないし、事務所の経費も相当掛かった。大げさだが、運転資金があればそれに越したことはない。kはいきなり行って300万円借りれた。と言う。へ~そんなもんか。善は急げとばかりに翌日国民金融公庫とやらに赴いた。名前を呼ばれて担当者のところに行くと「申し訳ないけどお宅の業種には借せないんだよね」と冷たく言われた。まだ若かった僕はテーブルを思い切り叩いて(なんだと、ここは国の金融機関じゃあねえのか)と怒鳴り、差別するのなら俺も考えがある。それでいいんだな。と凄むと、担当者は青ざめ「まあまあ差別なんかしません、ただ、調査業に融資した実績が無いものですから」などと言って、結局、50万円貸してくれた。詐欺師kには300万円、正業(勝手にそう思っていた)には50万円。ちょっとおかしいんじゃあないの。と思ったが、当時の僕にとっては大金だった。なぜなら、僕の事務所の家賃が月5万円だったから。その後僕はきちんと返済し、担当者も僕の顔を見ると「今日はいくら借りたい?」と言って、行けば即決で融資してくれた。勿論kは1円も返さなかった。・・・