探偵日記 01月23日金曜日 曇り
今日は快晴ではなかったが暖かい一日だった。午前中、板橋区高島平に行く用事があり駅に行くと、三鷹駅で人身事故があり止まっている。あ~あ、またか。と思いながらバスを乗り継いで行くことにした。
とにかく中央線は時刻表通りに走ることは稀で、たいがい遅れるのでもう慣れっこになった。午後は13時半、赤坂のホテルで依頼人と打ち合わせ。夜は例によって歌舞伎町でクラブ活動。10時半帰宅。最近は、
三次会無しにしてなるべく早く帰るように心がけている。
新宿・犬鳴探偵事務所 23
マルヒの夫が勤務する病院は河田町の東京女子医大。依頼人は勝ち誇ったように「あんたのところは近いからやりやすいでしょう」とおっしゃる。(分かりました。私のほうはいつでも着手できますが如何なさいますか)犬鳴が応じると、「今日から行動して。はい、とりあえずこれ着手金」と言って、帯の付いた100万円を投げるようにしてよこした。
当時はまだ探偵業法も施行されておらず調査を引き受けるにあたって面倒くさい手続きも必要なかった。それでも犬鳴が(では、お申込書です)と言って用紙を出したら案の定「そんな面倒なことはなしにして、調査料はいくらかかっても構わないから」と言う。犬鳴は、我がままで気の強い奥さんだな~。と思ったが、おそらく気持ちが動転しているのだろう。子供の頃から何不自由なく育てられただろうし、自分の容姿や美貌にも自信がある。まさか、夫が自分以外の女性と浮気をするなんて、微塵にも思ってなかったはずだ。しかし、牛のソバージュ女があろうことか家にまで押しかけ、(奥さんまだいるの、貴女のごご主人の愛は私のもので、もう貴方には無いのよ。無駄な抵抗はやめて、子供を連れてさっさと出て行きなさい)と言ったものだから、怒るよりも呆れてしまい、次第に恐怖も感じたらしい。・・・・