探偵日記 2021・07・29


木曜日、晴。しかし本日は大気が不安定でところによって雷雨があるそうだ。今日は久しぶりに依頼人と面談の約束がある。人と話すのは結構疲れるものだがこのセレモニーがないと先に進めない。依頼人が何を知りたいのか。そしてそのためにはどのような調査が必要なのか的確な判断を求められる。依頼人がおぼろげながら想像している手法を伝えることで、意思の統一が見られ受件に発展するのである。余談だが、僕は昭和53年、新宿大ガード近くのビジネスマンションに1ルームを購入し、「アース新宿探偵事務所」という名称で再スタートを切った。神田駅前、高田馬場を経て6~7年ほどたっていただろうか。その際、2500番という番号の固定電話を引き、職業別電話帳(のちのタウンページ)に小さな広告を載せ、当時の番号が今でも生きている。最近、この番号によく電話が入る。40年以上前の番号だから見た人も相当古い、というか高齢者が多い。話を聞いてもまず受件にならないことが多い。しかし、世の中何が起こるか分からない。という気持ちで、こうした1本の電話も切らさないでいる。




[ 不倫考 3 ]




こんな状態で何度調査を繰り返してもムダである。マルヒの夫が先に部屋に入り、2~30分後、明らかに相手と思われる女性がホテルに入るのだが、果たしてマル秘の部屋に入ったのかどうかわからない。出てくるときもまた同様に時間差をつけてでてくる。しかも、そのあと合流することもない。まさにお手上げである。某日、女探偵1名を加え張込を開始する。いつものように家を出たマルヒはなじみのラブホテルに向かう。女探偵が先回りしてフロント横で待機、直後にやってきたマルヒが選んだ部屋は31号室だった。・・・