詐欺 その8

9月28日金曜日

事実上9月も今日で終わり。今年もあと3ヶ月、時間は疾風のごとく去って行き、しだいに、また確実に老いてゆく自分が居る。泣くことこそないが、笑ったり、怒ったり、しながら。

今日は、僕の大好きな朝ごはんが無い。その理由は、奥さんが朝早くから外出したからで、前日「明日の朝ごはん無いからね」と宣告されていたから、覚悟はしてたけど。(笑)昨日は、ゴルフや毎晩続いた酒のせいか、疲労が極限に達し早めに帰宅し、19時にはベッドに入った。今朝07時に起きたので、12時間寝たことになる。ただ、そうは問屋が卸さない。仕事の電話や、ガールフレンドからのメール(嘘)調査員からの連絡等で、結局24時頃にウトウトとし、そのまま朝になったので、何時間寝たのか分からない。

07時のアラームでベッドを離れる決心をして、まず、黒酢を飲む。牛乳に黒酢を入れ、蜂蜜と朝鮮人参のエキスを加える。僕の家系は、首から上が弱いらしい。父親が脳血栓、母と兄が脳梗塞、(幸い兄のほうは軽症で、今も健在だが)アメリカに居る叔父も脳梗塞で倒れたらしい。だから僕は、一瞬で死に至る頭の病気には注意している。過日、人間ドッグで、大腸と膵臓に異常があると指摘され再検査したことは書いた。その時、主治医に(僕は、死の前に3~6ヶ月の準備期間が欲しい)と訴えた。すると、その女医さんが言う。「じゃあ、癌系が良いですね」と。なんとデリカシーの無い人か。

話は横道にそれたが、黒酢を飲んだあと、卵かけご飯を食べ、千葉の親戚から送ってきた梨を食べた後、通風と高血圧のお薬を飲む。これで朝のセレモニーが滞りなく終了したので、シャワーをして出勤。09時に事務所に着いた。

あ、そうだ。熱海のホテルで舞った5千万円はどうしただろうか?



詐欺 その8

宴会場は修羅場というか、騒然となり、芸者たちは着物の乱れもお構いなしに、1万円札の争奪に躍起となっていた。そうした光景を赤岡会長は覚めた目で眺めている。僕はそれとなく、浅岡や関係者を観察した。弁護士たちは、目では笑っているが(何故自分がこの場に居るのか)不快というか、忸怩たる面持ちで、仕方なくグラスを口に運んでいる。

そのあと、名ばかりの宴会が再開され間もなくお開きになった。関係者は三々五々、麻雀をする者、気に入った芸者を誘ってホテルのクラブに行く者、僕は部屋に戻ってテレビを見ながら、明日のゴルフのことを考えているうち眠ってしまったようだ。

熱海での慰労会が終わり、戦争のような日々が始まった。調査の対象は、別件の詐欺事件に関係した者たちを対象に進めた。それらの中に、真面目な人、平凡な生活を送っている人は皆無。皆一癖も二癖もある輩ばかりである。歴とした暴力団員もいた。その中の一人、I系の某組の幹部の話。同人の自宅での会話。妻、友人と「あのさー昨日うちの人と喧嘩してサー、ウン、女が居るのよ。広尾の高級マンションに囲っててさー、悔しいからあのことを警察にチクって(密告のこと)やろうかと思って」友人「あのことって?」妻「ほら、亭主が持ってきて隠してるチャカ(拳銃)のことよ」友人「そんなことをしたらあんたが困るでしょう。やめときなさいよ」妻「そりゃあそうだけど、最近はろくにお金も入れないしさ」

こんな会話を警察が聞いたら小躍りして喜ぶだろう。時は、銃刀法が強化され、拳銃1つ確保すれば総監賞ものだった時代である。こんな噂も聞いた。都内の或る警察での話し。覚せい剤で逮捕した被疑者が偽造拳銃を作る才に長けていることを知った刑事が、「1丁作ってくれたらこっちのほうは考えてやるけど」と唆したらしい。その気になった被疑者はいわれるままに作ったが、肝心の判決に何ら影響しなかったため、法廷で暴露した。まさかそんなことはないだろうが、そういう話がまかり通る環境でもあった。

探偵は、調査で得た結果を糊塗したり、隠滅したりしない。したがって、この報告もそのとおりにしたが、依頼人がどう処理したか分からない。ーーーーー