探偵日記

探偵日記 6月09日火曜日 雨のち曇り

5時少し前、目が覚める。外の気配を窺うとタイちゃんはすでにスタンバイしている。窓の外は音を立てて雨が降っている。アラームを止めて支度をし外に出る。毎回のことだが、玄関を出たところで、ギョッとして後ずさりする彼を抱きかかえて高架下へ。6時半、ジムに着く。約2時間汗を流して帰宅。ご飯を食べて事務所へ。9時50分到着。

教師と教師 7

小山田は帰ろうとする探偵を慌てて引きとめた。そして、(私のほうはもう少し大丈夫です。調査はお願いします。実は明日からやってもらいたいんですが如何でしょうか)と言う。腰を浮かせていた探偵が座りなおし、「私のほうは何時からでも大丈夫です。すると、明日、奥様の勤務先からの尾行で宜しいですか」ということで話がまとまり、調査申込書にサインし、いよいよ、妻に対する素行調査が始まり、小山田としてはもう抜き差しならぬ状況に追い込まれた。

探偵が帰った後、自分の机に戻ったものの仕事は手につかない。果たして、自分達夫婦はこの先どうなるのか、また、子供を巻き添えにして、家庭が崩壊するかもしれない。等と考えるうち、調査なんかするべきじゃあないんじゃあないか。と思えてきた。探偵は、「気持ちが変わったなら何時でもおっしゃって下さい」と言い残して帰っていった。あの犬鳴という探偵は自分の優柔不断な性格までお見通しなのかもしれない。いや、もう後戻りできない。その日、小山田の思考はちじに乱れた。

午後7時過ぎ、自宅に帰ると珍しく妻が在宅していた。(あれ~もう帰ってたの)と言うと、「今日は何も起こらなかったし、行事も無いからたまには貴方や子供達とご飯を食べようと思って、あ、もう支度は出来てるわよ。それともお風呂を先にしますか」等と言いすこぶる機嫌が良い。(じゃあ、子供たちもお腹が空いているだろうからいただこうか)小山田のひと言で家族水入らずの晩餐が始まった。------------------