探偵日記 11月24日木曜日 雪
早朝5時、タイちゃんを連れて外に出ると本格的な雨。気温も低く予報通り雪に変わるだろう。30分ちょっとで帰宅。次に目が覚めた時は案の定大粒の雪が隣家の屋根に積もっていた。支度に手間取って10時半家を出て11時に事務所へ。今日はこの後、報告が1件あって、2時半、依頼人と面談の予定。夜は銀座。
ロマンチックな恋の結末 15
十数年前、本郷にある勤務先に籍を置いたまま、某私大の客員教授となって、時間の余裕は出来たものの、何となく張り合いを無くしたような日々が続き、5月上旬の或る日、数日の休暇を取って小旅行に出かけた。思えば、26歳で大学院を終え、そのまま母校の研究室に残り、四半世紀を過ごしたことになる。その間、美しい妻を娶り1男1女の子ももうけた。自宅は、父の残してくれたものだが、人も羨む田園調布の一等地にあり、決して華美ではないが、敷地の広さのせいで辺りでも目立つ。しかし、どこでもそのようだが、子供たちは好き勝手に生きており、父親の意見などどこ吹く風の態。妻も、よそ様の奥方と違って着飾って出歩くようなこともない代わりに、夫の所作にいちいち文句をつけ、口答えすれば1か月でも2か月でも会話が途絶える始末。日々のことは妻にしかわからないことが多く、不本意ではあるが折れざるを得ない。大学での行く末も見えてきた。鬱々とした毎日だった。
漠然と旅に出よう。と、思い、何となく(そうだ角館に行こう)と思い立ち、GWが終わった5月7日車窓の人となった。この気まぐれの小旅行が、自他とも認める「朴念仁」の教授の生き様が大きく変わることになろうとは。-------