探偵日記 10月29日月曜日
昨日は朝から雨模様。僕の奥さんは、行きつけのワインバーの常連客達と「歩こう会」とやらに参加。09時20分、阿佐ヶ谷駅でチャーターした小型バスに乗り、皇居の周りを歩き、そのあと、神楽坂の小料理屋で昼食を摂るらしい。参加者はいずれも酒豪ぞろいで、賑やかに、かなりの時間を要すだろう。今朝聞いたところによると、帰宅したのが17時という。やはり3時間以上かけて楽しんだらしい。
今朝は、雨も上がっていた。まだ暗い05時、タイちゃんと散歩に出る。やはり、最初こそ元気に歩き始めるが、相変わらず、30分もすると立ち止まり僕の顔を見上げ、僕が、引っ張って行こうとすると足を踏ん張って抵抗する。そのうち座り込んでしまった。今まで長い間、30分程度の散歩時間だったのが、僕に代わって1時間歩かされるので疲れるのだろうか?彼ももう10歳と8ヶ月、人間なら僕と同じ70歳ぐらいか。明日から短くしてやろう。-----
偽装結婚 その8
結婚相談所の所長、(月形)が偽名なのはまあ許せる。職業によっては、通称名で日常を暮らす人は結構居る。しかし、これから人生の伴侶を求めようとしている人が、日本人としての基本部分を偽ってどうする。有体に言えば、(結婚の意志がない)ということではないか。でも、一見真面目そうに見えるマルヒが、登録が必要な相談所を欺いているとは思えない。仮に、行きがかり上、お見合いの相手と婚約せざるを得なくなったとしても、その後、結婚する気のない相手に3000万円もの出費を強いるだろうか。やはり、主導者は月形だろう。調査は、女性二人の身元の解明に注力する方針で進めた。
まず、伊東弘美について。
本籍は栃木県某市、職人の父は早く死んでいた。マルヒは長女。父の死後、実母の郷里埼玉に移住。妹と共に、そこで高校を卒業している。その後の経緯については定かではなかったが、22歳の時、20歳以上年上の男と結婚。しかし結婚生活は短期間で破綻。夫は、群馬県榛名山で死亡していた。詳細は明らかでないが、自殺が推測出来た。元夫はバツ一で、何故か或る女性の子供を認知していた。いずれにしても、相応しい相手ではなかったようで、決して、恵まれた結婚生活とはいえなかったようだった。
以後、十数年戸籍上は独身で、僕が最初に推測した(もしかしたら、既婚者ではないか)という予想は外れた。二人姉妹の妹のほうも、結婚して子供をもうけマイホームも得たが間もなく離婚。新築間もない戸建の家で、実母を引き取って暮らしていた。マルヒ本人を含め親族に特記すべき悪評は無い。マルヒは事務所で突き止めたマンションに約10年住んでいるが、家賃の滞納等なく比較的真面目に生活しているようだ。ただ、月曜日から1週間毎日張り込んだが、近所の商店に買い物に出かける以外、ほとんど外出せず、飯田橋の設計事務所に出勤することもなかった。-------