偽装結婚 その10

探偵日記11月1日木曜日

昨日はゴルフで事務所もお休みした。微風快晴またとないゴルフ日和。成績もまあまあだった。夕方5時に帰宅。まだ夕食には早いので、スナックでよく会う女性に「一度顔を出してよ」と誘われている阿佐ヶ谷の麻雀荘に行って見る。狭い階段を上がると3卓しかない小さなお店。しかし、暇な人が多いらしく2卓でゲームをしていた。僕が、(初めてだけど出来ますか)というと、「出来ませんよ」と、にねべも無い返事。その木で鼻をくくったような言い方にちょっとカチンと来たが、地元でもあるし、ああそうかい。という感じで引き下がった。多分、僕のことをセミプロぐらいに思って、追い返してやった。ぐらいに思っているのだろうが、次は、その女性と一緒に行って(狙い撃ちしてやろう)と思う。阿佐ヶ谷辺りの、ちょっと麻雀が好き。ぐらいの奴には負けない自信はある。

男でも女でも年齢に関係なく(可愛い人)のほうが得をする。



偽装結婚 その10

結婚相談所の責任者、(月形)の調査を開始した。ところが、彼女も伊東こと田中幸子同様ほとんど外出しない。併せて行った内偵調査で、結婚相談所そのものは実態が無いことが判明。新聞や雑誌の広告は連絡先としての電話が載っているだけで、月形の自宅に架設してある電話を、自身の携帯に転送していることも分かった。要するに、結婚願望のある人が広告を見て電話をすると、言葉巧みに喫茶転移誘い出し、伊東みたいな相棒を紹介し、入会金、登録料、お見合い料、婚約が成立すれば、成婚料、を得る仕組みになっている。他の結婚紹介所と異なるのは、事務所費などの固定支出が無く、ほとんど経費をかけない上手いやり方をしているのである。

そうして、当事務所の依頼人のように、(騙しやすい)客と見た場合、とことん搾り取る作業に入るのだろう。したがって、時々、新宿とか渋谷の喫茶店で、短時間男性と会う。この間、依頼人の携帯に1日数回電話がかかってきた。ただ、僕のアドヴァイスで、依頼人が出ることは無く、(いい人が見つかったので、至急連絡をくれ)という留守電が残された。

月形の調査も順調に進み、身元の概要も何となく掴めた。月形が偽名であることは前に書いた。居住するマンションのメールボックスには、「渡辺美由紀」と表示してあり、これが本名であろう。ただ、最近は個人情報保護法とやらで、第三者の住民票や戸籍を安易に取得できないが、本件は将来必ず訴訟に発展する。I弁護士も憂いなく申請し、数日後、弁護士事務所に、それらの公簿が届いた。-----