犬鳴探偵事務所 34

探偵日記 4月15日月曜日晴れ

13日の土曜日は、所用で静岡に行った。帰路、東名高速に入ったら、大和トンネル付近で事故が発生したらしく、通行止めになっている。一般道も混んでるだろうと考え高速道路上に留まる。間もなく通行止めは解除されるが、結局、6時間半ほどかかって帰宅した。事故は観光バスを含む9台の多重事故で、レッカー移動に手間がかかり事故処理が遅れた模様。僕は何時も思うが、高速道路や電車の遅延に対し、関係者の処理と利用者への対応が極めて劣悪だ。事故は、ある意味仕方の無いことであろう。僕もハンドルを握る者の一人として、避けられない状況もある。しかしである。いざ。という時のための備えが出来ているのだろうか?答えは否である。

何時も言うように、我が国民に最も欠如しているものは「危機管理」と「防衛意識」じゃあないだろうか。僕が通勤その他で最も多く利用する中央線は(遅延)の常習線であるが、或る日、西武新宿線を利用した時の話。どっかの駅で人身事故が発生したらしい。そのため、僕は10分で行けるところを1時間以上待たされた。車掌はこれでもかこれでもかとばかりに、事故の発生をアナウンスするが、乗客の最も知りたい(何時ごろ回復するか)についてはまったく触れない。何故だろう?答えは、彼らの意識の中に、乗客及び利用者に対する愛情が無いからだ。それと、己の仕事を尊ぶ精神が薄弱である。職業倫理といっても良い。昔、航空機の事故があったとき、テレビのニュースを見ていたら、明らかに、事故を起こした会社の関係者と思われる男性が、何が可笑しかったのか大笑いしている顔の映像が流れた。一瞬のことで見落とした人も居ただろうが、誠に持って不謹慎極まりない。事故を起こしたのは自分ではないので関係ない。と思っているのかもしれないがとんでもない。また、もっと昔の話。僕が小学生や中学生の頃、クラスの誰かが悪戯をすると、連帯責任ということで全員が担任に殴られた。だからといって、僕達は殴った教師を怨むことも無く、父兄も(体罰だ、暴力だ)と騒がなかった。

年を取ると口やかましくなるらしい。僕も例外ではなく、最近怒りっぽくなった。ただ、怒りのやり場に困る今日この頃である。

昨日、日曜日は、阿佐ヶ谷の小料理店「旬菜、成海」主催の第一回のゴルフコンペが開催された。新ペリア(隠しホールが12ホールある競技方法)で、下手なくせに、超セコイ僕は、うまくはまったらしく予期せぬ優勝をかざり、賞金2000万円をゲット。第一回の大会なので、永く語り伝えられるに違いない。そのためにも、成海には300年ぐらいは営業を続けて欲しい。しかし若い人はいいなあと思う。ドライバーなど250ヤードぐらい飛ぶ。それにひきかえ僕は160~170ヤードしか飛ばない。ただ、飛ばし屋に限って、アプローチとパットが下手である。チョロみたいなティショットの僕がボギーで上がって、若い三人は???これ以上書くと仲間はずれになりそうだからやめよう。(笑)

犬鳴探偵事務所 34

平成3年5月、故郷の山口県豊浦町(現、下関市豊浦町)に新築中の家が完成した。それとは別に、GWを利用して、細君の故郷で挙式をするという社員の招きで、まず、山口県とは真逆の青森に行くことになった。振り返るとこの頃が犬鳴の絶頂期だったように思う。4月27日、弁護士主催のゴルフコンペに参加するため、早朝東京を出発。まず茨城県のコースでプレーして、そのまま福島県に入り、郡山市内のホテルに1泊、翌日、青森に向かい八甲田で待っている悪友と合流。八甲田カントリーで2日間プレーし、翌日、弘前市で宿泊、5月3日憲法記念日に黒石市で行われる結婚披露宴に出席した。新郎が勤務する会社の社長が、わざわざ遠い東京から来てくれたというので、祝辞を述べてくれという。それも、主賓の市会議員より先に指名された。もう、当時何をしゃべったか忘れたが、非常に緊張したことを覚えている。

式が終わりその足で秋田へ。市内のビジネスホテルで1泊、夜は、地酒の高清水できりたんぽを食べる。翌朝、日本海を見ながら西下、その日は、石川県の山中温泉に泊まり、次の日はただひたすら走り、天橋立、琵琶湖、鳥取砂丘、出雲大社などを巡り、山口県を目前にしたところで力尽き、松江のホテルに救助される。翌5月6日、10日間のロングドライブの終着地である故郷に入り、聳え立つ崖の上に完成した家を引き渡された。

とにかくじっとしていられない犬鳴は、(そうだ、この家に常備する食器を買わねば)と思い立ち、佐賀県有田市に赴き有田焼のお茶碗等を購入。数日後、再び長距離ドライブ。合計4000キロ以上、本州を一回りして無事帰京した。その翌日、実に半月以上ぶりに出社。犬鳴探偵事務所は所長の犬鳴が不在でも十分稼動していたが、井口夫人はそうはいかない「ワンちゃん私をほったらかしにして何処に行ってたの」と、恨み言を言われる。勿論、井口夫人も本気で怒っているわけではない。(ご飯でも食べよう)犬鳴が誘うと嬉々としてついて来た。