探偵日記 12月18日火曜日晴れ
5時45分、タイちゃんを連れて朝の散歩に行く。ところが、朝まで降っていたようで、路面は濡れておりタイちゃんは物足りなさそうにして、暫し周囲をキョロキョロと見回している。こういう日の裏技で、高架下(中央線)に駆け込む。そこを往復してパールセンターへ。1時間4200歩あるいて帰宅する。風邪気味なのでシャワーせず定期検診のため河北総合病院へ。主治医の先生、にこりともしないで、「糖尿が心配ですね。もう少しアルコールの量を減らせませんか。」と言う。僕は素直に(分りました)と応える。「膵臓の腫瘍がどうなっているか検査しましょう。じゃあ来年の1月18日金曜日10時30分に来て下さい」ハイハイ(笑)
あの橋から その19
あの探偵さん随分あっさり帰ったなあ、末子は、私があんまりお金のことを言うので嫌気がさしたのかしら。などと、ぼんやり考えながら駅前のファミレスに停めてある車に向かった。探偵は、「奥さんの可能な範囲でいいし、大変失礼だけど分割でもいい。」と言っていた。費用の総額は5~60万円とのこと、それで、夫と相手女性の不法行為を裏付けた上で、女性の身元も調べてあげる。とも。末子の気持ちは、調査をする方向に大きく傾いた。
帰り道、糸ちゃんの家に寄って探偵とのやり取り等を報告し、(糸ちゃんどうしよう)と言ってみる。人はおかしなもので、自分の中では決めたことなのに、他人の意見を聞き、自分を鼓舞したいときがある。末子自身(よしやってもらおう)と決心している。その上で、糸ちゃんにも(そうしなさい)と言ってもらいたいのだ。糸ちゃんは、進んで、素人探偵になってくれたほどで、いい意味で好戦的である。末子が(正式に依頼したい)と言うと、「お金は大丈夫?少しなら応援するから」とも言ってくれた。勿論それは断って、末子は家に帰ってすぐ探偵に電話した。「ちょうど今事務所に戻ってきたところです。」と言う探偵と、月曜日の正午、勤務先に近い、とある喫茶店で待ち合わせをした。
あの~最初10万円位で良いでしょうか、と言う末子に対し、探偵は「結構です。余りご無理はなさらないように」と言っていた。「ご主人の写真、自宅の住所、勤務先の住所、自転車の特徴など整理してきて下さい」と言い、「あ、その喫茶店は知っていますから」と付け加えた。
月曜日、手際よく午前中の業務を終え、社員食堂に誘う同僚に、(ごめん、今日はちょっと外に行くから)と断って、12時5分前に勤務先を出て、約束の喫茶店に向かった。探偵は今日も先に来て、末子を待っていた。2度目なので末子を認めると、にっこり笑って手招きする。椅子に座った末子に「何か召し上がりませんか」と言い、自分はサンドイッチを食べている。
探偵の差し出す書類にサインをし、着手金10万円を払い、夫を、被調査人とした素行調査の申し込みが終了した。夫が家を出ると宣言した期日まで、あと11日になっていた。-----------