
カーネーションその8
昨夜一睡も出来なかった。特に悩みがあるわけでもないのに。加齢による現象なのか困ったものだ。ただ、そうはいっても、夢を見たような気がするので、もしかしたら少しは寝ているのかもしれない。朝7時半朝食。少し横になって10時過ぎに家を出る。今日は奥さんのリクエストで、伊勢丹でグレープフルーツとお味噌を買わなければ成らないので、車で出勤した。 -------------------------------...
福田政史の探偵日記
昨夜一睡も出来なかった。特に悩みがあるわけでもないのに。加齢による現象なのか困ったものだ。ただ、そうはいっても、夢を見たような気がするので、もしかしたら少しは寝ているのかもしれない。朝7時半朝食。少し横になって10時過ぎに家を出る。今日は奥さんのリクエストで、伊勢丹でグレープフルーツとお味噌を買わなければ成らないので、車で出勤した。 -------------------------------...
依頼人としては、静かな真理子の部屋に行ってゆっくり話したかったが、真理子が「おなかが空いた」と言うので、仕方なく近くのファミレスでランチをしながら聞くことにした。どういうことなんだ。依頼人が真理子に目で促すまでもなく、何の衒いも無く、しかも、さも嬉しそうに話し始めた内容は次のようなものだった。 真理子は言う。「あの人は自民党の関係者で、特に、運輸省(現在の国土交通省)の大臣に可愛がられ、東京...
電話を切って、そろそろ休もうかと思っていたらまた真理子から電話がかかってきた。 「すみません、彼が貴方と話がしたいって言ってるから代わるね」と言う。いや代わる必要はない。と言いかけたが、受話器の向こうはすでに男性の声に変わっていた。少しどすの利いた声で、「もしもし」と言っている。 真理子は何時もこうだ。自分勝手というほどではないが、思い込みが強く、空気の読めないことがしばしばである。今...
22日に書いたカーネーションその4が公開されない。娘に聞いているところだけど忙しい娘から返信が無いので、4を飛ばしてその5を書いている。昨日と一昨日はゴルフ等の予定があてお休みした。ゴルフは一応ベスグロだったけど、ハンデの関係で準優勝だった。というわけで、昨夜は疲れていたせいか良く寝れた。目覚めも快調で、事務所に早く来てブログを書いている。この年になると体調が良好で朝を迎えることなんかめったにない...
依頼人は同期の中でも出世頭で、早くから取締役候補だった。仙台支社の支社長就任もその試金石のようなものだったらしい。大手企業に勤務する幹部社員がニューヨークの支店長になったら帰国後役員になる可能性が高い。したがって、依頼人も5~6年大きな失敗をしなければ50歳前後で本社の取締役になるのは間違いないところだった。 しかし、実父の逝去という或る意味で想定されたアクシデントのため、依頼人の意志とは関係な...
依頼人には妻と二人の子があるという。不思議でもなんでもない当然の状況であろう。小たりとはいえ会社を経営、経歴も人に誇れるものである。 実父の逝去を機に、およそ10年前、長年勤めた商社を退職し家業にはいった。実父は鉄鋼関係の二次問屋を経営していたが、業界では知らぬものが居ないほどの人物で、一時期は、カルテルをも仕切っていたらしい。豪腕で経営能力もずば抜けていたようで、本業以外に、所有するビル等の自...
この日僕は宮城県の亘理という町に居た。数日前に入った新規の依頼案件で、少々変わった内容の調査だった。 依頼人は中年の婦人でその娘を同行して我が貧乏探偵事務所にやってきた。マルヒ(調査対象者)は、この娘の夫の父親である。 身内といってもいいような人を調査する理由はこうだった。 「先方のお父さんに私脅されているんです」 息子の嫁の母親を脅す?このご婦人少しいかれてるのかな。と思ったが勿論そんな...
昨夜も小刻みの睡眠で、やや体調不良。それでも10時半、事務所到着。貧乏性というか、どうしても家でじっとしていられない。休むことが罪悪に思えるのだから死ぬまで働き続けるに違いない。という訳ですので、この貧乏探偵社をどうぞ宜しく。 今日から、拙著の次回作に予定している「カーネーション」(仮題)を少しづつ書いてみようと思う。今から4~5年前の案件で、依頼人の心理状況が当時の僕のそれに似ていたことも...
今日は僕の誕生日。恥ずかしながら68歳になった。子供の頃、50過ぎの人を見るとみな老人に見えた。それより更に20年近く年上である。僕を見る人達がどう思っているのか、一人ひとりに聞いてみたいような気がする。しかし、僕自身どうしても「老人」とは思えない。特に、精神面は軽薄といわれるぐらい若さを装っている。健康面も十分注意しながら生活しているので、多少の不摂生にも耐えられる。例えば、2ヶ月に一回東京女子...
昨日より20分早く事務所に着く。事務のたかちゃんが来ている。彼女は今、社労士になるため猛勉強中。わが子に比べよそ様の子達は偉い。それもこれもみんな親である僕のせいか? なんて考えていたら現場の調査員から報告の電話が入った。張り込み現場の地形上3日目にして、住民が注意し始めたと言う。僕の若いころと違って、一般の人たちの危機意識が高く車両を停めて張り込んでいるとすぐにパトカーがやってくる。警察は...