偽装結婚 その6

探偵日記 10月26日金曜日 昔、こんなざれ歌を聞いた。「土方殺すにゃ刃物は要らぬ。雨が三日も降れば良い」そうか。工事現場で働く人たちは、雨の日はお休みになる。例えずる休みしても月給の貰えるサラリーマンも居れば、天候に生殺与奪の権利を握られている人もあるんだ。などと感心したものである。時は流れて、今の自分。探偵にとって、(依頼)が無ければ何もすることが無い。まさに、工事現場で働く作業員の雨と...

偽装結婚 その5

ところが、我が優秀な探偵事務所のコナン達が失敗した。一度しかないチャンスをものに出来ず、この日、マルヒ(伊東弘美)の住所を特定することは叶わなかった。 翌日、チーフの斉藤に詳しく聞いたが、状況的にやむをえなかったかな。と思わせる内容だった。依頼人と二人の女性は、喫茶店からレストランに移動し3時間余りをかけ食事を終え、まず、伊東弘美が依頼人と月形に挨拶を交わし立ち去った。この日は、月形の住所も...

偽装結婚 その4

探偵日記 10月24日水曜日 僕が昨日地元の病院「河北総合病院」に行ったことは書いた。今まで、20数年間、事務所に近い「東京女子医大病院」に通っていたが、家族のすすめもあって転院した。昨日、保険証を忘れ、事務員に、「自費になります」と言われ、ここんところ良く来ているのに、診察券では駄目なのかな。と思ったが、事務の女性は頑としてノーと言う。まあ、忘れた僕が悪いのだからと思い、本日、領収証と健康...

偽装結婚 その3

それで、その月形という結婚相談所の責任者はなんと言ってるの?と聞くと、依頼人は「あの子性格が悪いから駄目ね。他にもっと良い人が居るから紹介する。って言ってます。」と言う。じゃあ、伊東に渡した3000万円はどうなるの?と聞くと、「さあ、でも月形さんは良い人です。本当に僕のことを考えてくれて、最近は(男を磨け)と言って、エステを勧めてくれ、ヘアースタイルも変えなきゃぁって言って、専門家の女性をつけてく...

偽装結婚 その2

探偵日記 10月22日月曜日 三日ぶりの事務所。相変わらず暇で全員集合。2班に別れランチに行く。男性軍はとんかつ、女性は? 僕は昨日のゴルフコンペ(4組)で予定通り優勝。(笑)賞金7,000万円と競馬も当たり1億5500万円の配当を得て機嫌が良い。だから、ランチの代金、2700万円は僕が払った。パーティ後のカラオケ代や、ホステスたちのチップが、2億円ほどかかったので±0 まあしゃあない...

偽装結婚 その1

親しくして頂いているI弁護士から電話があり、「今、結婚詐欺にひかっかたご依頼人が来ておられるんだけど、調査を必要とする案件になりそうだから1度会ってもらいたい」と言う。勿論僕のほうに異存あるわけも無く(有難うございます。僕のほうは何時でも結構です)と応えると、「お勤めしている人なので、土曜日か日曜日が都合良いといっているんだけど」との由。僕が結構ですと言うと、「じゃあご依頼人に福田さんの事務所と携...

探偵日記

10月18日木曜日 本日、スマホの福田は死にました。(笑) 10月6日土曜日、それまで使っていた携帯が、時々待ち受け画面の色が突然変わったりするので、そろそろ寿命かなと思って、娘や妻、事務所の若い人たちが持っているスマホに換えてみた。ところが、その日から体の調子に変調を来たし、午後になると頭が痛くなったりした。しかし、最低1ヶ月は頑張ってみようと思い毎日のようにドコモに通い努力してみた...

相続 その7

その後も、調査は継続した。依頼人は僕の報告を大喜びして聞く。特に、二人がハワイ旅行を断念せざるを得なくなった場面では、「面白いわね~」と言いながら大満足の様子だった。依頼人に満足してもらったり、成果に感嘆されたときは、探偵冥利につきる。実は、二人のハワイ旅行の情報は、女性がつい最近まで勤めていた銀座の高級クラブで得たものである。僕はそのクラブに貿易会社の営業部長の肩書きで通い、女性の大親友にそれと...

相続 その6

10月16日火曜日 毎朝の犬の散歩も少しづつ慣れて、早起きも苦にならなくなった。但し、夜遊びを控え早寝するからで、若干ストレスになっているかもしれない。朝1時間の散歩で、4500歩くらい歩く。したがって、1日1万歩以上歩くことになり(健康)という事を考えると悪くないと思う。 ただ、6時に帰ってきてすぐの食事は、今までと時間が異なるので食欲がわかない。だから、少し休んで8時にしたら美味し...

相続 その5

事務所では早速元ホステスの身元調査と、主たる被調査人(マルヒ)の経営する会社について、内偵調査を開始した。内偵調査とは、簡単に言うと(聞き込み)である。今でこそ、個人情報保護法などという悪法が出来て、法律を良く理解できない者たちがやたらと権利だけを振り回すものだから、例えば、数室しかないアパートの大家まで、「入居者のことは言えません」などと、したり顔で言う。しかし、当時はまだ、手順を踏んで訪問すれ...