先生

今日から6月、やがて訪れる梅雨を考えるとあんまり好きな季節(月)じゃない。ただ、18日は僕の誕生日。年齢は言いたくないけど確実に老境に迫りつつあるって実感はする。かといって、大人しく早く家に帰ろうっていう性格でもない。昨夜も阿佐ヶ谷の、天国に一番近いスナック「ほろよい」に行ってババさま達と他愛の無いおしゃべりをして午前様。

今日からある案件について、連続して書いてみようと思う。探偵をしていて、男性のマルヒに対し激しい憤りを感じることはしょっちゅうで、藤田まこと演じる「中村主水」に登場してもらいたいと何度思ったことか。タイトルの「先生」はまさにそういう男で、今もまだ、聖職者面をして教壇に立っていると思うと数年を経てなお、許せない心境になってしまう。しかし、わが国は紛れも無く法治国家である。個人の感情など言ってみれば「ごまめの歯軋り」みたいなもの。このブログをマルヒが読んでくれることを期待して書いてみる。



プロローグ

数日前、かぼそい声の婦人から電話があり、「A先生のご紹介で初めてお電話いたしました。」私は、Yと申します。「実は、某公立中学の教師をしており、平日にお伺いすることが難しいのですが休日というわけにはいきませんか。」と言う。僕に断る理由など無い。何時も何かと仕事を回してくれる弁護士の紹介であり、休日に家に居なくてもいいなんて、願ったり叶ったりである。しかも妻に対し正当な「理由」が言える。というわけで、次の日曜日、僕の事務所で面談する約束をした。すると、その電話が終わるのを待ってたように、A弁護士から電話があり「私のクライアントで、Yさんという人から電話があるかもしれないので相談に乗ってあげて」と言う。たった今Yさんから電話があって、日曜日にお目にかかる約束をしました。と、報告するとA先生は、「ちょっと可哀想な人だから宜しくね。」と言って電話を切った。

日曜日午前十時、約束どおりその依頼人はやってきた。色白でぽっちゃり、僕の好み(は、全く関係ない)年齢は37~8歳か。化粧っけの無い顔で、髪を後ろに束ね黒のタイトスカートに純白のブラウス。ああ、僕の田舎の中学校にもこんな先生居たな。と思い出しながら、どうぞ。と言って、応接室に招き入れる。ただ、予想をしていなかったが、2歳に成るという女児を連れていた。2歳にも成れば、大人の会話も少しは理解するだろう。面倒だな。と思ったが、依頼人のほうから「この子に聞かせても構いませんので」と言ってくれて、依頼案件についての面談が開始された。——