カーネーションその11

昨日は急遽決まったゴルフで、朝5時に起き栃木県の「ひととのやカントリークラブ」でプレーした。スタートが早かったので午後3時前に帰宅。5時には夕食を摂る始末。行きつけの焼肉店のマスターも驚いていた。生ビールを飲んだ後、マッコリ4合ビンを2本、そのあと、また、天国に一番近いスナック「ほろよい」に行き焼酎を数杯飲んだから少々酔った。

その代わりと言うと変だがぐっすり眠れたような気がする。誘眠剤か酒かどっちかに頼らなければならない夜は辛い。(笑)

さて、その後、真理子と山本、それに依頼人の社長はどうなっただろうか。
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依頼人と2度目に会ってから1週間過ぎた。
調査は急ピッチに進行しかなりの成果を得ていた。この間、2~3度、依頼人には電話で報告したが報告の内容に満足してくれない。というか、「真理子が嘘をつくとは思えません。しかし、貴方の報告を信じていないという訳ではありません。ただ、私が聞いている山本と余りにも食い違うものですから」と言って、更に調査の継続を指示する。
こちらも仕事である。やれと言われれば何度でもする。それに、僕自身、(もしかしたらこっちの調査が間違っているんじゃないか)と思い、調査員にも念押しする始末で、調査は長期化する気配をみせた。

案の定、マルヒの住民票はアパートの住所には無かった。しかし、彼が立ち寄った世田谷の豪邸が実家だったことから、絡み合った糸がほどけるようにマルヒすなわち山本の正体が明らかと成った。
現在のマルヒは我々が見たとおりホームレス同然の男で、数年前自己破産し、今も債鬼に追われている状態であること、勿論離婚歴もあり、現在も韓国人女性と結婚しており、その女性の二十歳に成る男の子とも養子縁組をしていた。したがって、到底真理子とは結婚できないのだが・・・・・・

一方、真理子はやっと結婚できる男性と巡り会い、しかも会社の社長で大金持ち。と思っているものだから舞い上がっていて、依頼人の忠告にも耳を貸さないばかりか、何か自分の都合の悪いことを言われると食って掛かる有様で「もう完全に狂って居ます」と、依頼人も嘆息するしかない状態である。

マルヒこと山本は、東京世田谷の出身。僕と同じ昭和19年生まれのサル年で、還暦を越えたばかりだった。実家は代々造園業を営み土地やマンション等を多く持つ資産家である。マルヒは、高校卒業と同時に家業に入り2~3年は真面目に働いていたが、結婚するや夜遊びを覚え、女の子をもうけたもののあっという間に離婚。以来、職業に就くことも無く、日中は寝て、夜になると銀座や六本木を徘徊する日々が続いたようだ。さらに、悪いことにバブルの真っ最中、父親が死亡したため莫大な遺産を相続、遊びに拍車がかかってしまった。現在の妻とはそんな頃知り合い、一時は赤坂にクラブを持たせたがマルヒの栄華もここまでで、平成10年頃には、相続した数十億円といわれた資金も底をつき、借金を重ねた挙句夜逃げをするに至った。

戸籍上の妻と子供は池袋のマンションに住んでいた。時々はマルヒも訪れるようだが、もともと愛情で結ばれた関係ではなく、無一文となったマルヒには安住の場ではなくなってしまった。では、何故マルヒは真理子をたぶらかすだけの財源があるのか?--------