依頼人は、僕の提案にたいそう乗り気で、「是非その女性に言って、真理子たちの住むマンションに乗り込んでもらってください。」と言う。
僕は早速あらかじめコネを作っておいた韓国人女性に頼み、マルヒの元妻(厳密には本妻)と会う段取りをつけた。某日、なかなかの美人であるその女性と面会。しかし、当方の目論見は見事にはずれ「それならそれでもうあの男とは関わり合いになりたくない」と言う。(これで今一緒に暮らしている人と遠慮なく暮らせる)というのが彼女の偽らざる心境のようだった。
赤帽とかいう運送業を個人で営業しているその男性は、マンションも所有しており、稼ぎも悪くないと言う。何より(優しい)と言ってのろけられた。若い頃、韓国から、世界で一番嫌いな日本に来て、随分苦労をしたことだろう。美貌を武器に山本のような一時的に大金を持った成金を相手に、栄華を極めた時もあったが、今の男性を「終の棲家」と決めたのだろうか。
もうそっとしてあげたい。と思いながら彼女らと別れた。―――――