依頼人としては、静かな真理子の部屋に行ってゆっくり話したかったが、真理子が「おなかが空いた」と言うので、仕方なく近くのファミレスでランチをしながら聞くことにした。どういうことなんだ。依頼人が真理子に目で促すまでもなく、何の衒いも無く、しかも、さも嬉しそうに話し始めた内容は次のようなものだった。
真理子は言う。「あの人は自民党の関係者で、特に、運輸省(現在の国土交通省)の大臣に可愛がられ、東京や首都圏の高速道路の清掃作業の利権を得ている。大金持ちよ」などと自慢げに言う。更に、「法政大学を卒業しているが、在学中は柔道部のキャプテンだった。現在独身で、私と結婚したいって言ってくれている」
そのほか、我慢しながら依頼人が聞きだした内容によれば、真理子の住むアパートに近いスナックで知り合ったこと、まだ深い関係にはなっていないこと、ただ、結婚後に住むマンションは彼、山本がすでに購入。リバーサイドに新築中の億ションらしい。新しいマンションは今年の9月に完成するので、入居の際、お互いに車を買おう、僕はBMW750にするから君は350でどうか。と言ってくれているという。しかし、真理子は山本の実際の住所は知らされておらず、ただ男の言うことを丸々信じているだけで、依頼人も話を聞いている僕も(本当かな)と、大いに疑問を抱いた。特に依頼人は、「貴方より、ん~とお金持ちで立派で、優しくてハンサムよ。」などと言われるものだから、内心「私ほどの男と比べて」という、自負心を大いに傷つけられたらしく「徹底的に調査いて下さい」と言う。
僕は、調べるまでも無く結果は彼女にとって、散々なものだろうな。と思ったが、依頼人の嫉妬は際限が無いぐらい膨張し、もう、費用のことなんか念頭に無い。状態だった。調査は、真理子の店「花ひろば」の閉店を待って、彼女を尾行。真理子と別れた後、必ず会うだろう(山本)なる男性を尾行して、まず、男の現住所を確認しなければならない。---------
————————————————–
昨夜そんなに飲んだつもりは無いのに、二日酔いのような感じで体調悪し。ご依頼人との面談が、10じだったのに9時に変更され早く起きたのがいけなかのかもしれない。日々、年々体力の衰えを感じる今日この頃である。しかし、朗報もある。事務所が入居するビルの2階にスポーツクラブが出来るらしい。オープンしたら早速会員になり体力づくりに励む覚悟である。妻は「じゃあタイちゃんのお散歩したら」などと、我が家の厄介者の愛犬(ネクタイ)の朝の散歩をさせようとしているが、嫌~だね。(笑)