昨日は隔月に1度第二水曜日に開催されるゴルフコンペがあった。威張れるスコアではなかったが、他の人の調子が悪く栄えあるベスグロ賞を頂いた。コースは埼玉県毛呂山町にある「エーデルワイス」非常にトリッキーなレイアウトで、いたるところに落とし穴がある。ぼくも、イン42とまあまあだったがアウト1番ダボ(パー4のところを6たたいた)2番トリプル、3番トリプル、この時点で優勝とは縁が無くなった。(笑)5番パー、6番パー、7番ダブルパー(泣)8番パー、そして迎えた最終のロングホール。パーなら49、ゴルファーなら分ってもらえるだろう50と49では大きく気分が違うのだ。
前のショートホール、パーだったので、最初にティーショットを打つ。まずまずの所。どういうわけか4人とも畳一帖ぐらいの中にある。僕のセカンドは素晴らしい当りで残り100ヤード、ピッチングでぴたりと寄せて何とバーディ。途中あんなにばたばたしたが上がってみれば48。というわけでした。
今日からブログの更新が出来るようになった。書き溜めておいた4日分を入れてもらい改めてスタートする。
カーネーションその20
依頼人は、何時までたっても目が覚めない真理子に痺れを切らし、かくなるうえは、報告書を真理子に読ませて山本という男の正体を知らしめる。という気持ちに至ったらしい。ぼくは、賛成ではないが、偽りを報告したわけでもないので(どうぞ)ということになった。その結果、どうなったのだろうか?気にしていたら数日後依頼人から連絡があり、「何時もの所で会いたい」という。午後6時、約束の小料理屋に行くとすでに依頼人は待っていた。
僕は、依頼人の表情を一瞥して、(あんまり良い結果ではなかったな)と思った。やや淋しげな顔で手酌をしている。簡単な挨拶を交わし依頼人の向いに座りビールを注文する。(どうでした?)と尋ねてみる。淋しげに笑った依頼人は、「真理子は全部知っていました」と応える。僕は、調査をしていることを承知していたのかな。と思って慌てて聞いた。(全部って何をですか)依頼人はそんな僕の気持ちを察してか、「いやいや、山本についてのことです。韓国人の女性と結婚していたこと等です」と言って、さらに、「法政大学を卒業したことや、政治家の利権を得て、会社を経営していることは、信じています。この報告書はウソばっかし」って言っていました。
そこまで言って依頼人と僕は顔を見合わせ大笑いした。(惚れた弱みで痘痕も笑窪)とは良く言ったものだが、歴とした探偵社の報告書をウソばっかし。とは良く言ったものだ。しかし、真理子の立場ではそう言わざるを得ないのだろう。穏やかな性格だが間違ったことを言ったりしたら容赦なく説教される。14年もの間慣れ親しんだ男女の関係。有体に言えば少々飽いてもきただろうし、何処までいっても肩身の狭い愛人でしかない。一方、山本は、今のところ、老母からせしめた小金で真理子に退屈させない上に、正式に結婚もしてくれ、結局は自分の負債となるのだが、高級車も買ってくれたし、行く行くは花屋の隣にある空き地を購入してビルを建て、1階を店舗、2階以上を貸室にして老後に備え、最上階に二人で住もう。などと、夢も与えてくれる。(リバーーサイドに完成した超高級マンションの話は無くなり、最近はもっぱらビル建設に変わっていた)
そして、何より真理子が大事にしているのは、山本との間に繰り広げられる日々の営みであろう。「何であんな男を」依頼人は会うたび僕に言う。K大を卒業し、我が国でもトップクラスの企業に入社。将来を嘱望されるほどの自分。しかも、生家は名のある事業家の家系。小なりとはいえ現在も安定した業績を挙げている会社の社長である。勿論自慢はしないが、言外に(そんな自分と比較して、貴方よりうんと良い人よ)と言われた悔しさが滲み出ていた。
酒の力を借りて僕は言った。(社長、男女の仲って複雑で奥深いものなのです。確かに、一人の人間としてみた場合、社長と山本は比較する以前の問題で、あいつは人間の屑です。でも、女性の思いは違ったところにあるのかもしれません。社長は、真理子さんの部屋に泊まったことはほとんど無いでしょう。好きな人に夜中に帰られるのは辛いんじゃあないでしょうか。その点山本は、一日の大半を自分と一緒に過ごしてくれる。夜寝るときも横にいて、朝起きたら同じ布団にいてくれるんですよ。真理子さんの結婚願望は、婚姻届けを出すことではなく、毎晩(お休み)って言い、朝(お早う)って言ってくれる男と暮らせる環境なんじゃないですか)
したくてもそれが出来ない人に対して少々残酷だったかもしれないが、依頼人の顔を見ながらゆっくり諭すように言ってみた。依頼人は身じろぎもしないで、口元に持っていったお猪口を膳に戻し、時間にするとどのくらいだろうか、じっと俯いたままだった。----------