
嘘 その5
翌日、、事務所に行くと昨日のスタッフは誰一人来ていない。あれぇ徹夜になったのかな?と思っていたら依頼人からメールが届いた「昨日は遅くなってすみません。私たちは11時頃新橋駅で男性と別れましたが、二人はまだ何処かで飲むような話をしていました」と言う。その後どうなったか分からないが、それから飲みにに行けば終電に間に合わなくなる可能性が高い。(まかれたかな)と嫌な予感がした。 昼過ぎにチーフの勇一...
翌日、、事務所に行くと昨日のスタッフは誰一人来ていない。あれぇ徹夜になったのかな?と思っていたら依頼人からメールが届いた「昨日は遅くなってすみません。私たちは11時頃新橋駅で男性と別れましたが、二人はまだ何処かで飲むような話をしていました」と言う。その後どうなったか分からないが、それから飲みにに行けば終電に間に合わなくなる可能性が高い。(まかれたかな)と嫌な予感がした。 昼過ぎにチーフの勇一...
一昨日に続き昨日も朝6時起きになった。手早く朝食を済ませ、さあ、出かけよう。と、思っていたら依頼人から「母は足が悪いのでタクシーを使うかもしれません」と、連絡が来た。本日の調査は、若い調査員二人に任せるが、対象者を知っているのが僕だけなので、(本人特定)だけ僕がやることにしていた。車両の用意をしたかな?と思い、調査員のS君に連絡すると「いいえ」と言う。自宅のそばに駅があるので、多分電車を利用するだ...
暇な事務所も1年に1回ぐらい忙しくなることがある。特に業績的に好調ということはないが、例え、10万円の依頼案件でも決して疎かにしないのが事務所のスタンスであり、僕のポリシーである。また、ご依頼人が何も言わなくても、僕自身満足しなければ何度でもやり直す。仕事で悔いは残したくない。 調査員たちは、数箇所の現場で張り込みを行っている。僕は今日、多少でも彼らの助けになればと、早朝から某所で張り込んだ...
朝出かけようとしたら土砂降りになった。軟弱な僕は、「傘があるんだから早く行きなさいよ」と言う奥さんの声を無視して、(いや、もう少し待ってみる)と言って自室に入った。2,3メールをして、小止みになったので家を出て11時40分ごろ事務所に着いた。昨日土曜日も朝早く出かけ午前様になった。今日も恐らくそうなるだろう。福島から知人が上京しており、食事でもってことになりそうだし、そのほかにも予定がある。 ...
昭和26年4月、山口県豊浦町の小学校に入学した僕は、数年前に「修身」と言う表現は消えたものの、必修科目に「道徳の時間」というのがあり、礼節や修養などの精神鍛錬を受けた。そんな教えの中に、(嘘つきは泥棒の始まり)があり、僕など、嘘が悪いことは理解できたが、(泥棒の始まり)と言う意味がどうしても分からなかった。当時も今も、僕の田舎で、例え留守にしても鍵をかける家など一軒もなかった。したがって、(泥棒さ...
8月30日木曜日、10時過ぎに事務所に着く。事務のたかちゃんだけで、調査員は全員出はらっている。炎天下の張り込みは辛いだろうと思うが、先輩探偵みんなが通った道である。頑張れ。 膠着状態だった案件も少しづつ進み光明が見えてきた。数日中には、中間報告が出来るだろう。ご依頼人は、一たび依頼すると早く結果が知りたいものだ。僕は、小刻みにでも判明事項を、電話やメールで報告している。次から次に仕事が入っ...
二人は、、伊勢丹を過ぎたあたりから体を密着させ、手をしっかり握り合い肩を寄せて歩いてゆく。僕は(はてな、この先にラブホテル有ったかな)と思いながら尾行を続けた。時々Kさんの方を見ると、真剣な顔で10メール後方から追尾していた。やがて、新宿病院前を通過。新宿御苑の大木戸門の信号を四谷方面に渡る。すると、(ホテル長良川)というネオンが見え、(あそこかな)と思っていたら、外苑西通り、四谷一丁目の信号を渡...
今日も家を早く出て、9時半ぐらいには事務所に入った。何かに急かされるような心境で、事務所にいるだけで、仕事ははかどらず時間ばかりが過ぎてゆく。生きてゆくということは、時の移ろいとともに、煩雑な環境と戦うようなものかと思えるほど、ただ、気持ちだけが焦燥感に責められる。 本年4月、今までの事務所からピッチングの距離に分室のような事務所を設けた。ところが、そこから無間地獄のような不況に見舞われ、大...
8月27日月曜日、時間の経つのは早い。1ヶ月以上前、さあ、夏休みだ。と喜んでいた子供たちもあと数日で終わり、今頃は、頭を抱えて宿題をこなしているに違いない。僕の頃もそうだった。毎日、いや2日置きにでもノートを開いていればそんな苦労をしなくてもいいのだが、ついつい遊びを優先して毎年後悔したものだ。僕など、大人になっても変わらない。早く片付けなければならない仕事があっても(まあ、明日やればいいか)と、...
翌日、、依頼人の要望により早速調査に入る。若い夫婦ゆえ共働きも当然であろう。夫婦は同じ職場で知り合い、結婚後もそのまま勤めている。ただ、就業している場所は、依頼人が本社で、マルヒ(妻)は支店のようなところだった。 午後4時、マルヒの勤務先付近に到着、直ちに張り込みを開始する。同5時7分、営業所の入るビルよりマルヒが出てくる。薄手のコートを着ているので、服装は詳しく分からないがスカートにヒール...