クリニック 14

そうして1年ちょっと関わった美容整形クリニックの院長「出水聡」に係わる素行調査は終了した。報告書を何通出したか分からないほどの調査だったこともあり、8年以上経った今も、調査の内容や依頼人のことを時々思い出す。素朴な主婦だったが、内に秘めた女の性に何となく激しいものを感じた。折角手にした思いがけない「幸福」を、ちょっぴり美人だからといって、精神を病んだこともある女性に奪われた悔しさは、他人には計り知れないだろう。調査を担当し、何十回と会って様々の話をした僕でさえ、男ゆえに理解できない部分が有ったと思う。

或る時、健康の話になり、依頼人が笑いながらいった言葉を覚えている。「福田さん、食事は、孫に優しいを召し上がってればいいのよ」と言う。(それなんですか)と聞く僕に、「奥様はご存知のはずよ、要するに、豆、ゴマ、野菜、お魚、ってことよ」と教えてくれた。当時はもっと詳しく聞いたように思うが忘れてしまった。その後の僕は、そのことを特に留意してきたわけではないが、ここ数年の食事は、(孫に優しい)ものになっているような気がする。僕の好物は、お豆腐、(夏は冷奴、冬は湯豆腐)焼き魚、梅干、それに野菜はたくさん食べる。

依頼人のお子さんたちも大きくなっただろう。当時、小学6年生と中学3年生だった男の子はいずれも成人しているはずで、二人とも優しい子だったように思うから、依頼人の支えになっているはずである。

弁護士の話では、マルヒのクリニックは倒産したが、家族は田園調布の家で暮らしていると言う。日々の生活は保たれているようで安心した。その後、マルヒとあの美人の看護婦長はどうしているだろうか?マルヒは医師としての技量は確かだったようだから、弁護士の言うように、「何処かの病院に勤務していることはないでしょう。ある程度稼いでいると思いますよ」それならば、(金の切れ目が縁の切れ目)にはならず、二人は一緒に生活しているだろう。等と、考える今日この頃である。

※クリニックは今日で終わりました。伊藤さん、佐藤さん、いつもお読み頂き有難うございます。



今日も東京は34~5度になるという。暑い暑いとぼやいても仕方ないが、やっぱり暑い。若い頃は滅多に汗をかかなかったが、最近は少し歩いただけでもどっと汗が出る。

今日は、夜7時から勉強会がありその後責任者と飲むことになるだろう。医者の「週2日は休肝日を作って下さい」というアドヴァイス守れそうにない。